2016 Fiscal Year Research-status Report
旗多様体の一般コホモロジーおよびシューア関数とその変種に関する研究
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15K04876
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中川 征樹 岡山大学, 教育学研究科, 准教授 (50370036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成瀬 弘 山梨大学, 総合研究部, 教授 (20172596)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トポロジー / 幾何 / Schur S-, P-, Q-関数 / Hall-Littlewood関数 / 複素コボルディズム / Gysin写像 / Schubert calculus |
Outline of Annual Research Achievements |
P. Pragacz氏の論文「A Gysin formula for Hall-Littlewood polynomials」に着想を得て, 平成26年(2014年)の10月頃に, 成瀬弘氏と共同で着手した「普遍Hall-Littlewood関数」にまつわる「普遍Gysinの公式」の研究は, 平成27年度に論文「Universal Gysin formulas for the universal Hall-Littlewood functions」(arXiv:1604.0451, 投稿中)という形でまとめることができた. これら一連の研究を進めている最中に, Hudson-Matsumuraによる, 代数的コボルディズム理論におけるSegre類およびSchubert多様体の「Kempf-Laksov分解」から定義される「Kempf-Laksov類」の研究, Darondeau-Pragaczによる旗束(A, B, C, D型)に付随するGysinの公式の研究が登場した. 我々の「普遍Gysinの公式」の観点からは, これらを複素コボルディズム理論へ拡張することができる. 平成28年度は, この問題に取り組んだ. 具体的には, 複素コボルディズム理論におけるDarondeau-Pragaczの公式の定式化, Kempf-Laksov類を表す対称関数としての「Kempf-Laksov型の普遍ファクトリアルSchur関数」の導入, さらには, これまでに導入した様々な「普遍Schur関数」を, その特殊な場合として含む「普遍ファクトリアルHall-Littlewood P, Q-関数」の導入を行った. また, 複素コボルディズム理論におけるDarondeau-Pragaczの公式の副産物として, 「普遍Hall-Littlewood P, Q-関数」の母関数表示を求めることができた. これは, 古典的なSchur多項式の場合でさえ, ほとんど知られていなかったものである. これらの成果は, 研究集会「空間の代数的・幾何的モデルとその周辺」(2016年8月 於 信州大学)において発表され, 今後, 論文「Generating functions for the universal Hall-Littlewood P- and Q-functions」として発表される予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述したように, 一連の研究は平成26年(2014年)10月頃に着手し, ほぼ2年の月日をかけて, 2編の論文にまとめることができた. 研究成果としては, 当初の計画(交付申請書に記載した「平成27年度の研究実施計画」)を大きく上回るものであると考えている. しかしながら, 「平成28年度の研究実施計画」の遂行が遅れることとなるため, 全体としては「概ね順調な進展」と判断する次第である.
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Strategy for Future Research Activity |
上述した「普遍Hall-Littlewood P, Q-関数」の母関数表示から, その特別な場合として, 「安定Grothendieck多項式」や, 池田-成瀬により導入された「K-理論Schur P, Q-多項式」GP, GQの母関数表示が得られ, それを利用すると, いわゆる「Pieriの規則」や「Giambelliの公式」を導くことができる. これらの結果を用いると, GP, GQの双対である対称関数gp, gq (これらは, 平成28年度に出版された我々の論文の中で導入されたものである)の積や余積に関する情報が得られることが期待でき, 平成28年度に計画していた, 無限シンプレクティック群Sp = Sp(∞)のK-ホモロジー, K-コホモロジーの記述が進展することが期待できる.
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