2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04882
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
江田 勝哉 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (90015826)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 基本群 / one dimensional / wild space / reduced suspension |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究で新たに進んだものは Reduced suspension の基本群の研究である。これについて S. Corson と W. Hojka によるものがある(引用文献[C-H])。しかし、この論文には不備があり証明に Gap があった。そこで、これを直すとともに、これらの群構造を詳しく調べることをした。Corson-Hojka により2種類にわけられているものを Tame と Wild とよぶことにする。Tameの場合の基本群の群構造を自由群、自由σ積と基数を使って、分類した。以下 a,b を基数とする。(1)生成元がa個の自由群 F_a(2)bが共終数ωのとき G_b。ただし G_b は F_{a_n}(sup a_n = b)のn についての自由σ積。(3)F_a (aは1 または無限)の可算個の自由σ積。(4)F_a と G_b の自由積(b≦a)。(5)F_a と可算個の F_b の自由σ積の自由積(a>b)。 なお、この分類の一意性は、本研究代表者が過去に証明した整数群のσ直積と直和からなるアーベル群に関する階層定理によっており、その結果からTameな場合のReduced suspension の特異ホモロジー群の分類定理が得られ、群構造を自由アーベル群、σ直積と基数を使って、分類できることを示した。Wild な場合Harmonic Archipelago 群を含む[C-H] の証明のギャップをうめた。 既に、継続して研究している Making spaces wild という方向では、simply-connected space に稠密に円周をつけてできる空間の基本群の投稿論文の推敲をし、発表した。 [C-H]S. Corson and W. Hojka, Fundamental groups of reduced suspensions, preprint.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が20年以上に渡って研究してきた、1次元空間の基本群が空間の性質を強く反映するということに関連する研究をしてきているため、ある程度ところまで進むのは、はじめの結果から予想できることでもあった。この研究は見方によれば基本群という空間と群をつなげる概念をつかうことにより、ある種の非可算、非可換群の研究をしていることと見ることができる。今後の推進方策でも述べるが、既に、今までの技術では手に負えない非可算、非可換群が野性的空間の基本群として現れてきている。これらについては、新たな解明が必要ではあるが、それは今までの方法が成功してきている裏返しでもある。研究実績に述べた、今年度新たに現れた対象である空間の基本群では、研究代表者の過去の研究がうまく機能することによりTameな場合の分類ができている。この意味では順調であるが、reduced suspension が wild な場合、基本群として現れる群に対しては、これまでのアプローチは無力である。これについては今後の研究方針で多少詳しくのべるが、そこでの考え方は、群の構造を空間の複雑性から類推するという方法をとる。これは、この研究の大きな流れのなかで生まれた新しい視点でもある。今後の方針に述べた群 A(Z), A(A(Z)) さらに A(A(A(Z))) はreduced suspension の基本群に部分群として現れる群である。現在これらの群が同型かどうかを含め、ほとんどのことがわかっていない。しかし、これらについても空間の複雑性の反映を推測できるというのも今までの研究が進んできていることの反映でもある。
|
Strategy for Future Research Activity |
すでに進めているMaking spaces wild という方向での、研究のほか、研究実績の項で述べた reduced suspension の wild な場合現れる非可算、非可換群の研究は今までとは全く異なる知識、技術を要する研究である。それは自由σ積を自由積の正規包で割った群の研究が必要であるからである。このような群の構成は、アーベル群の場合の類比でいえば直積を直和で割った群が対応する。進捗状況で述べた過去20年以上の流れでは、Speckerの定理に関連するアーベル群論において成立する事実に対応する非可換群における事実を追うことにより研究が進んできた。そこで、最初に考えるべきことは、この剰余群が、アーベル群の場合のような性質、つまり、algebraically compactness に対応する非可換群の性質をもつかということを調べることから始める。今後の方針を具体的に述べるため、群の定義をする。A(G)を群Gからできる archipelago 群とする。一般に G はA(G)の部分群と同型であるが、G が整数群 Z であるとき、A(Z) が Z の自由σ積に埋め込めないことは既にわかっている。これを、A(A(Z)) が A(Z) の自由σ積に埋め込めないということに拡張することを目標とする。これは進捗状況に述べたように空間の複雑性から類推していることで、成立の見通しがあることではなく作業仮説である。これの成立、不成立を決定することから、この群の詳しい性質を研究する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延のため、研究旅費の使用がなかったため。 使用計画は昨年度とおなじ。
|
Research Products
(3 results)