2018 Fiscal Year Research-status Report
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15K04883
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
河野 明 同志社大学, 理工学部, 教授 (00093237)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ゲージ群 / 写像空間 / K理論 / Samelson積 |
Outline of Annual Research Achievements |
Gを位相群とし、Pを空間X上の主G束とする。Pのゲージ群とはPの自己同型のなす位相群のことをいい、その名前はPの自己同型が物理でいうゲージ変換であることに由来する。ゲージ群は数学と物理の両分野で重要な研究対象であり、特に、数学におけるゲージ理論、変換群論、そして、トポロジーにおいて特に重要である。Gottlieb、後にAtiyahとBottによってPのゲージ群の分類空間は写像空間map(X,BG)のPの分類写像f : X → BGを含む弧状連結成分であるmap(X,BG;f)にホモトピー同値であることが示された。これによりゲージ群の分類空間は写像空間のモデルを与えることがわかり、盛んに研究されるようになった。特に、Pのゲージ群は評価ファイブレーション map*(X,BG;f) → map(X,BG) →BG の連結写像G → map*(X,BG;f)のホモトピーファイバーと同一視されることから、ゲージ群の研究は評価ファイブレーションという基礎的な対象の古典的視点とは異なる新しい視点からの理解へとつながるものである。本年度は特にS4上の主Sp(n)束のゲージ群のホモトピー型に関する不変量とp局所ホモトピー型の分類を行った。Sp(n)束のゲージ群は複素K理論を用いたこれまでの研究手法ではとらえることのできないものであり、実K理論を用いる必要がある。しかし、実K理論は非常に複雑であり、当該年度に得た結果は先行結果とは一線を画すものである。また、本結果は1992年のSutherlandの結果における不定性を解消するものであり、古典的なゲージ群の研究に決着をつけるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度の研究はSutherlandの結果の不定性の解消と、Sp(n)のp局所化がretractibleと呼ばれる場合におけるS4上のSp(n)束のゲージ群のp局所ホモトピー型の分類についてである。前者の不定性の解消は非常に困難だと考えられ、1992年から未解決問題として残されていた。そこでこの問題解決のために実K理論を用いたSamelson積の計算に着手したが、非常に複雑な計算のため時間を要したため、当初の予定よりも研究がやや遅れた。また、後者のp局所化の研究は前者のために行った計算に深く依存しているため、こちらも同時にやや遅れることとなった。しかし、注意深く計算したため、論文を投稿してからのプロセスは順調に進み、一流紙Algebraic & Geometric Topologyに論文は掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲージ群の研究には主束の構造群の積構造の理解が必要不可欠である。一方、リー群の積構造はホモロジーにトーションがある場合とそうでない場合で大きく異なり、後者の場合は系統的に研究できる。今後は例外型リー群を構造群とする主束のゲージ群について考え、まずはp局所ホモトピー型の研究から始める。この研究はquasi-p-regularと呼ばれる場合にはHasui-Kishimoto-Miyauchi- Ohsita、Hasui-Kishimoto-So-Theriaultによって行われているが、そうでない場合でホモロジーにトーションがない場合は未解決である。そこでまずはこの場合を考える。この場合はretractibleではないのでこれまでのK理論を使った計算だけでは結果を得ることができないので、リー群の安定分解等を用いたより深い計算が必要となる。その後、例外型リー群F4を構造群とするゲージ群の3局所ホモトピー型を考える。F4はホモロジーに3トーションをもつため、その3局所的性質は非常に複雑であるが、Harper(後に河野により正しい証明が与えられた)結果を用いてF4を分解することで研究の足掛かりを得る予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた謝金の支出をせず繰り越したため。 今年度の研究計画にのっとり、研究代表者および研究協力者招聘の旅費、もしくは謝金に支出する。
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Research Products
(1 results)