2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K04908
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山崎 晋 日本大学, 理工学部, 教授 (00349953)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | D加群 / 境界値問題 / 超局所解析 / 佐藤超函数 / 近接輪体 / 消滅輪体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は,昨年度からの続きとして,Y. Laurent-T. Monteiro Fernandes の導入したフックス型 D 加群に対し,我々の定義した近接輪体加群,消滅輪体加群のD加群としての性質を調べた.特に,昨年度迄に存在を示す事が出来た幾つかの特殊三角形,及びそれらを結びつける8面体公理に基づいてモノドロミー構造を考察し,その整型函数解,佐藤超函数解の構造を調べた.フックス型加群の場合,特性指数が定数の正則特殊化可能加群の場合と,特殊三角形等,抽象的には同じ形の諸結果が得られるが,具体的な例を見ると,異なる振る舞いをする事が判る.又,我々は幾何学的には法バンドル上を舞台とし,その上の形式的無限階偏微分作用素を用いて研究を進めていたが,既に知られている D 加群論に於ける近接輪体加群,消滅輪体加群の理論の様に,余法バンドル上で,解析的的擬微分作用素,或いは第2超局所解析を用いる手法でも同様の結果が得られないか,研究を始めた.これについては,無限階の解析的擬微分作用素を持ちいれば,やはり作用素の変換論が確立出来て,フックス型偏微分作用素,及び田原秀敏氏(上智大学理工学部) の意味の Fuchs-Volevich 系が標準形に変換出来る事が示され,我々の最初の結果と同様の結果が得られる事が判った.但し今の所,両理論に対し函手的に対応関係がついていない.
青木貴史氏(近畿大学理工学部), 本多尚文氏(北海道大学大学院理学研究院)との共著の論文 Foundation of symbol theory for analytic pseudodifferential operators, I が Journal of the Mathematical Society of Japan に掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は当初の目標としていた,今迄に得られた諸結果の証明の議論を簡略化する事については残念ながら成功しなかった.その為,研究実績の概要でも述べた通り他の方向からのアプローチとして,従来の方法により近い,余法バンドル上で解析的的擬微分作用素を用いる手法での研究を試みた.この場合,最初に消滅輪体が定義される事となる.その結果,座標を定めればうまく行く事が判ってきたので,その意味では成功したが,函手的な方法,特に Fourier-佐藤変換での対応付けには,今の所,完全には成功していない.又,分布 (distribution), Gevrey 超分布 (Gevrey ultradistribution),或いは無限階可微分函数,Gevrey 超可微分函数を解とする様な境界値問題を考察する為の準備として,田原秀敏氏(上智大学理工学部)が単独方程式に対して定義した非正則度(irregularity)をフックス型D加群に定義する事もD加群に対しては最終的な定式化に至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
我々の近接輪体加群,消滅輪体加群に対し,引き続き従来の方法により近い,余法バンドル上で,解析的的擬微分作用素を用いる手法での研究を続け,当初の我々の方法との同値性を函手的に証明する事を目標とする.これが可能であれば,解析的的擬微分作用素については種々の代数的性質が知られているので,以前からの課題である,我々の近接輪体加群,消滅輪体加群の代数的性質 (有限性等,許容的無限階D加群であろうという予想) に関して研究を進める事が出来ると期待される.又,手始めに,田原秀敏氏の非正則度よりはやや条件が強いが既に様々な性質が知られている Newton 多角形 (polygon) を用いた非正則度を使った定式化で,分布 (distribution), Gevrey 超分布解を考察する事を考えている.
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Causes of Carryover |
2017年度は,本来,使用する筈であった,研究集会参加に伴う旅費の計上が予定を大幅に下回ってしまった為,次年度使用が生じた. 2018年度は,既に海外(イタリア)の研究集会や,京都大学に於ける研究代表,北海道大学での講演等の予定もあるので,旅費を中心に予算を使いたいと考えている.
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Research Products
(4 results)