2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04908
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山崎 晋 日本大学, 理工学部, 教授 (00349953)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | D加群 / 境界値問題 / 超局所解析 / 佐藤超函数 / 近接輪体,消滅輪体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は,既に我々が定義した連接D加群の導来圏に於ける近接輪体函手,消滅輪体函手と,正則特殊化可能 D 加群の有界導来圏上にLaurentが第2超局所解析を用いて定義した近接輪体函手,消滅輪体函手との関連を研究した.我々は幾何学的には法バンドル上の解析によって定式化をしており,Laurentによる第2超局所解析ではその双対である余法バンドル上での解析によって定式化をしている.この時,我々の幾何学的仮定の下では,互いの理論が Fourier-佐藤変換で関連付けられ,函手的としての対応関係がある事が証明出来た.その結果,我々の近接輪体加群,消滅輪体加群が,従来の正則特殊化可能 D 加群の近接輪体加群,消滅輪体加群の一般化である事は既に証明出来ていたが,それが導来圏に於ける函手としても一般化を与える事が証明出来た(附随する種々の特殊三角形(distinguished triangle)についても同様である).この証明には,解析的無限階擬微分作用素の形式表象理論を元にした,実整型超局所函数 (real holomorphic microfunction) の形式表象の理論,特に座標変換公式を用いる.但し,形式表象理論を援用して実整型超局所函数を取り扱う際,既知の結果だけでは多少不足な点がある事が判った為,注意が必要であった.この方面の理論整備が今後の研究課題である. 又,2018年度は,研究成果の発表として,5月に北海道大学,6月にパドヴァ大学(イタリア),10月に京都大学数理解析研究所で行われた研究集会で講演を行った.京都では研究代表者を勤めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度からの課題であった,我々の方法とLaurentによる第2超局所化による方法とにFourier-佐藤変換によって函手的な対応をつけ,規準的な関連をつける事に成功した点は,非常に良かった.これによって,今迄なかなか手が付かないでいた,分布(distribution), Gevrey超分布(ultradistribution)解に対する境界値問題を,第2超局所解析の立場からアプローチする事が可能になると期待される.更に一般に,我々の理論と第2超局所作用素の理論との関連も得られるであろうという予想も持っている.
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Strategy for Future Research Activity |
解析的無限階擬微分作用素の形式表象理論については,連携研究者の青木貴史氏 (近畿大学),本多尚文氏 (北海道大学)との共同研究(論文発表済み)で基礎付けを与える事に成功したが,研究実績の概要で触れた通り,この形式表象理論を使って実整型超局所函数を取り扱う際には,今だに不充分な点がある事が今回の研究を進めてきて判ってきた.又,第2超局所解析による作用素の表象理論も,無限階については同様に考察の余地がある様に思う.今後,こうした超局所解析の基礎理論の整備に向けてみたい.特に実整型超局所函数の(形式)表象理論と同時に,正則とは限らない特殊化可能系に対するLaurentの消滅輪体函手の理論を我々の立場から吟味し,拡張を試みたい.その際,代数的D加群の範疇では既に定義されているFourier変換論の,Fourier-佐藤変換と両立する解析的範疇での対応物を見出す事も考察したい.
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Research Products
(5 results)