2015 Fiscal Year Research-status Report
リーマン面のモジュールと再生核の複素多変数的変動についての研究
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15K04914
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
濱野 佐知子 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (10469588)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多変数関数論 / 擬凸領域 / 多重劣調和 / スタイン多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.Schifferスパンと調和スパンが導く計量の性質について、単著論文Log-plurisubharmonicity of metric deformations induced by Schiffer and harmonic spansが査読付き国際雑誌Mathematische Zeitschriftに受理された(2016年2月19日)。本論文では、Schifferスパンおよび調和スパンが誘導する2つの計量はプラナーリーマン面では一致することを証明した。また、それらの計量は曲率が負で完備であり、変動が擬凸の場合は対数的多重劣調和性を示すことに成功した。 2.共著論文(S.Hamano, M.Shiba, and H.Yamaguchi) Hyperbolic span and pseudoconvexityが査読付き国内雑誌Kyoto Journal of Mathematicsに受理された(2016年2月15日)。本論文では、種数1の開リーマン面の変動を扱い、各開トーラスのコンパクト化で得られる閉トーラスが誘導するモジュライの全体、すなわちモジュライ集合の変動について考察した。変動が擬凸ならば、hyperbolicスパンは劣調和であることを示した。また、変動が擬凸、かつ、hyperbolicスパンが調和ならば、その変動は自明であることを証明した。 3.半完全正則微分のなす空間の再生核の多変数的変動について考察した。有限種数の境界つきリーマン面上の2乗可積分な半完全正則微分のなす空間の再生核について考察し、変動が擬凸のとき再生核はベルグマン核と同様の性質を示す手応えを得た。 4.第50回函数論サマーセミナーを福島県二本松市で主催した(9月4日~9月6日、参加者43名)。若い視点から複素解析や関数論的手法を見つめ直し、将来につながる研究の芽を育てる重要な活動であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度計画していた研究課題について、得られた成果を講演し、論文として受理されたから。また、第50回函数論サマーセミナーの世話人として、若手研究者支援および地域貢献ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
流体力学的微分のL_s変分公式(-1<s≦1)とその応用について考察を行い、得られた研究成果を論文としてまとめる。引き続き国内外での研究成果の発信にも努める。
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Causes of Carryover |
福島県二本松市で主催した第50回函数論サマーセミナーの補助金を、相川弘明教授・平地健吾教授からもご支援たまわったため、使用計画額より少なくて済んだから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
図書購入および研究打ち合わせのための旅費に使用する。
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Research Products
(8 results)