2019 Fiscal Year Research-status Report
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15K04922
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲浜 譲 九州大学, 数理学研究院, 教授 (80431998)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ラフパス理論 / 確率微分方程式 / 特異な確率偏微分方程式 / 非整数ブラウン運動 / 葉層空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主にラフパス理論について研究を進めた。まず葉層空間上の確率微分方程式にラフパス理論を応用して、確率的な流れを構成した。これは熊本大学の須崎氏との共同研究である。葉層空間は多様体ではないために、流れを構成するための主要な道具だとされるコルモゴロフの定理が使えないために、ラフパス理論が本当に役に立ったと言える。また、ラフパス理論そのものではないが、その先祖であるヤング積分の枠組みの中で定式化した、slow-fast問題に対する平均化定理と言われる極限定理を示した。普通と違うのは、slow成分はブラウン運動と非整数ブラウン運動の両方で駆動されるが、fast成分はブラウン運動のみで駆動される点である。これは九州大学のBin PEI氏と西北工業大学のYong XU氏との共同研究である。もう一つの研究課題である特異な確率偏微分方程式については、それなりに勉強を進めたが、論文を書くまでにはいたらず、鋭意努力中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
掲げた研究テーマに関する論文を(数学の世界の常識から見て)悪くない進度でかけている。ただし本年度の末にコロナウイルス事件が起きてしまい、いくつかの研究計画が中止もしくは翌年度に延期になったのは残念であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の末にコロナウイルス事件により延期になったいくつかの研究計画を残された時間内になんとか進めたい。
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Causes of Carryover |
令和2年2月ごろに生じたコロナウイルス事件により、いくつかの研究集会が中止になり、その結果として旅費を使い残した。翌年度にはこの中止になった分の研究活動を行い、繰越した金額を使う予定である。
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