2017 Fiscal Year Research-status Report
経路積分ー時間分割近似法で切り拓く経路空間上の解析
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15K04937
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| Research Institution | Kogakuin University |
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Principal Investigator |
熊ノ郷 直人 工学院大学, 情報学部, 教授 (40296778)
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2015-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 経路積分 / 関数方程式論 / 関数解析学 / 数理物理 / 擬微分作用素 / 振動積分 / フーリエ積分作用素 / 確率解析 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
経路積分はファインマンがシュレディンガー方程式の解を時間分割近似法で定義したことに始まる。研究代表者は、これまでの研究で、経路積分の時間分割近似法に擬微分作用素の理論で開発された計算方法を適用することで、経路積分の定式化を行ってきた。本研究の目的は、逆にシュレディンガー方程式以外の擬微分作用素に、時間分割近似法を適用することで、様々な形の経路積分を構成すること、また同時に、研究代表者がこれまで定式化してきた経路積分の理論整備と成果発表を進め見直すことで様々な形の経路積分の構成に活かすことを目的とする。今年度は、前年度発見した変数係数の一般階放物型方程式の擬微分作用素に対する相空間経路積分の時間分割近似法が位置経路の終点と運動量経路の始点に関し広義一様収束し、和や積、位置経路や運動量経路に関する平行移動や正則変換、さらに汎関数微分の演算に関して閉じる汎関数の２つの集合を構成した。次年度は、この相空間経路積分において、位置経路や運動量経路の平行移動に関する性質、直交変換に関する性質、汎関数微分に関する部分積分などが、どこまで成立するかを調べる予定である。特に放物型方程式の場合、運動量の尺度関数のオーダーを考える必要があり位置と運動量の関係が対称的でないため、位置経路と運動量経路に関する相空間経路積分の性質が、シュレディンガー方程式の場合と少し異なると予想している。成果発表としては、８月にインドのタタ研究所の応用数学センターのセミナー、１０月に京都大学数理解析研究所の研究集会、３月に早稲田大学の研究集会、ポルトガルのアヴェイロの研究集会で、私の経路積分の理論を紹介した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の段階では、変数係数の一般階放物型方程式の擬微分作用素に対する相空間経路積分の場合、時間分割近似法の広義一様収束を示す際、漸近展開で尺度関数のオーダーを下げる必要があり、また、位置と運動量を同時に測定できない不確定性原理も絡むため、時間分割近似法が広義一様収束する汎関数の集合は、あまり多くの演算が期待できないと予想していた。しかし、時間分割近似法が広義一様収束するだけではなく、位置経路や運動量経路に関する平行移動や正則変換、さらに汎関数微分の演算に関して閉じる汎関数の２つの集合を構成できた。また、不確定性原理に関わらないように注意する必要はあるが、この相空間経路積分において、経路の平行移動に関する性質、経路の直交変換に関する性質、汎関数微分の部分積分なども、ある程度は成立すると予想している。成果発表については、国内の研究集会で２回、海外のセミナーで１回と海外の研究集会で１回発表した。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度構成した相空間経路積分が広義一様収束し、和や積、経路の平行移動や正則変換、汎関数微分の演算に関して閉じている汎関数の２つの集合に対して、相空間経路積分の経路の平行移動や直交変換に関する自然な性質、汎関数微分の部分積分の公式がどこまで成立するかを調べ、論文としてまとめる予定である。放物型方程式の場合、運動量の尺度関数のオーダーを下げる必要があり、また位置と運動量を同時に測定できない不確定性原理があるため成立するとは限らない性質もあり、成立するかを慎重に調べる必要がある。擬微分作用素や経路積分に詳しい研究者と研究連絡を取って慎重に研究をまとめる予定である。
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| Causes of Carryover |
大学業務との関係で日程が合わず、海外の研究集会で１回しか発表できなかったことによる。国内や海外の研究集会での成果発表、調査、研究連絡の旅費として用いる予定である。大学業務と重なる場合は、研究者招聘の旅費や謝金として用いる予定である。
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Research Products
(3 results)
