2015 Fiscal Year Research-status Report
超汎関数空間論の新展開と無限次元確率解析及び量子力学系理論への応用
Project/Area Number |
15K04940
|
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
齊藤 公明 名城大学, 理工学部, 教授 (90195983)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三町 祐子 名城大学, 理工学部, 准教授 (00218629)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 無限次元確率解析 / 超汎関数空間論 / 無限次元確率過程 / 分枝過程 / 無限次元ラプラシアン / 量子確率過程 / 高次チェザロ和 / マルチンゲール理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の助成金を受け、主に1)汎関数極限定理の高次化、連続化、2)計算機実験に基づく確率過程の漸近挙動、3)新しい確率積分法によるnear-submartingale理論の展開、4)超汎関数空間論の新構築及び無限次元確率解析への応用展開などにおいて顕著な成果を得た。1)においては、レヴィラプラシアンを定義する際に基盤となるチェザロ定理に関し、オーダーを高次化して高次レヴィラプラシアンに拡張可能とし、連続化をすることにより、その高次ラプラシアンの連続表現を得ることに成功した。更に、正のオーダーに関するチェザロ定理を証明することが出来、本研究テーマの無限次元確率解析を広範囲に展開するための基本定理が整備された。本結果は国際論文誌IDAQPに掲載された。2)においては、計算機実験による分枝過程シミュレーションに基づき、より一般的な仮定の下で極限分布を求め、漸近挙動を調べた。本結果は国際論文誌ROSEに掲載された。3)においては、新しい導入した確率積分法に基づき、near-submartingaleなる概念を新しく導入し、マルチンゲールの分解定理を証明した。本結果は国際論文誌COSAに掲載された。4)においては、超関数空間の構成法を更に一般化し、数理物理学における発散量δ(0)を超関数としてとらえることに成功した。この空間上で超関数値汎関数空間を構成しδ(0)を用いてレヴィ、ヴォルテラの無限次元ラプラシアン同士の関連式を得た。超関数の逆元も定義可能となりレヴィラプラシアンの生成する確率過程に繋げることができた。更にホワイトノイズ超汎関数空間を導入し、無限次元ブラウン運動を中心としたδ超関数確率過程のみたす確率微分方程式を導出した。本結果は前基盤研究成果の一般化であり、本理論が量子論、複雑系などへ広範囲に応用可能になった点は画期的な進展と思われる。成果はCOSAに投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎理論の構築も進展し、新しい積の定義できる超汎関数空間論の展開を始めている。成果も順調に得られてきている。海外研究協力者Accardi教授、Kuo教授との共同研究もそれぞれ実施展開し、結果を論文にて公表している。計算機実験により分枝過程の漸近挙動についても成果を得て論文として公表している。研究協力者も力学系において成果を上げ、研究代表者とともに量子力学系への展開を始め検討を続けている。理論面、応用面双方において、成果を出すことができ、独創的な研究を続けていると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
超汎関数空間の新しい理論構築及び無限次元確率解析の展開、Accardi教授との共同研究「無限次元確率解析の量子確率論への応用」、Kuo教授との共同研究「新しい確率積分法に基づく確率解析の新展開」などにおいて基盤も整い順調に研究が続けられている。今後は、これらの研究成果の量子力学系及び複雑系への応用を引き続き考察する。複雑系に応用する際はグラフ上の確率過程のシミュレーションなどを計算機実験にて行う。関連セミナー、研究集会の実施、共同研究・成果発表のための国内外出張、計算機実験に基づく理論構築なども継続的に続け、成果充実を図る。
|
Research Products
(8 results)