2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K04951
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大塚 浩史 金沢大学, 数物科学系, 教授 (20342470)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Rellichの等式 / Gel'fand問題 / 解の爆発 |
Outline of Annual Research Achievements |
非線形偏微分方程式の解の爆発現象は、解集合の全貌に示唆を与える事実として多くの研究者の関心を集めている。本研究の代表者も、指数関数型非線型項を持つ非線形楕円型境界値問題である、2 次元Gel’fand 問題の爆発現象の解析に取り組んできたが、近年、「Rellich の等式」の新たな活用方法を見出し、これを用いて、爆発に近づきつつある解の線形化作用素の固有値・固有関数の詳細な挙動を確定した。具体的には、問題を考えている領域から定まる行列が存在し、その行列の固有値・固有関数により線形化作用素の固有値・固有関数の挙動が定まることを見出した。 2 次元Gel’fand 問題は曲面論と関係が深く、「Rellich の等式」は、conformal Killing vector fieldと呼ばれる特別なベクトル場とLaplace作用素との交換子から導かれ、やはり幾何学との係わりが深い。本研究の目的は、この「Rellich の等式」の新たな活用方法を手がかりに、関連する高次元における問題や、多様体上の問題など、様々に拡張された問題における解の爆発現象の線形化問題を解析し、結論における次元や幾何学的構造などの影響を調べることで、背景にある数学的構造を解明することである。 昨年度に引き続き、今年度も計画に従って基礎研究期間と位置づけ、基礎となる2次元Gel’fand 問題とともに、最終的な目標に近い4次元Gel’fand 問題の線形化問題に関する解析を進めた。具体的には、4次元Gel’fand 問題およびその線形化問題の解について、円盤など特殊な状況において具体的な計算を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
漸近展開を解析する対象として、最終的な目標に近い4 次元Gel’fand 問題を扱ったが、すでに得ている部分的な結果を精査し、その拡張(精密化)を試みた。残念ながら、未だ2次元で得られるような精密な結果に類似する事実を得ることはできなかったが、現在は、より条件を課した上で計算を進めている。問題の周辺にある状況が分析できつつあり、基礎研究は達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
残念ながら、4次元のGel’fand問題には根本的な難しさがあるように思えるが、Roma大学のM. Grossi氏、Sassari大学のF. Gladiali氏などの連携研究者との議論を通して状況分析を進めることができた。より条件を課して考察するという方針を加え、次年度以降も計画に従って継続する。
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Causes of Carryover |
昨年度未使用で残した額を用いて、計画どおり海外出張を行った。未使用額は旅費の見込み額との差程度であると考えるが、参考資料や消耗品の購入等に慎重を期すために、翌年度に残すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額分も含め、参考資料や消耗品等の購入を慎重に行う。
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