2015 Fiscal Year Research-status Report
平坦でない空間における楕円型偏微分方程式の解構造の解明
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15K04965
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
壁谷 喜継 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70252757)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 球面上の楕円型偏微分方程式 / 分岐解 / 正値特異解 / 逆二次のポテンシャル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,球面上の非線形楕円型方程式に対する正値正則解の分岐現象と正値特異解の存在・非存在について検討を行った.分岐現象に関しては,明治大学総合数理学部の二宮広和氏,並びに University of Basel の Catherine Bandle 氏とともに,非対称な分岐解も込めて解明を行い,学術雑誌への投稿に向けて論文原稿を執筆している. また,正値特異解については,龍谷大学理工学部の四ッ谷晶二氏,韓国 Hanbat 大学 の Soohyun Bae 氏,台湾 国立中央大学の陳建隆氏とともに研究を行い,赤道について対称な正値特異解の存在する場合,しない場合があることを解明した.これらの得られた成果を数理解析研究所の研究集会で発表し,その内容は,数理解析研究所講究録にて公表される予定である. また,関連する話題として,ユークリッド空間全体での逆二次のポテンシャル項をもつ線形熱方程式の研究を,東北大学大学院理学研究科の石毛和弘氏,University of Bordeaux の El Maati Ouhabaz 氏とともに行い,村田實東京工業大学名誉教授の成果を逆二次のポテンシャル項を持つ場合に拡張した.この成果は,The Proceedings of the London Mathematical Society に投稿し,審査結果を待っている状態である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
球面上の非線形楕円型方程式の分岐については,平成27年度中の投稿を目指していたが,論文の完成がやや遅れ平成28年度にずれ込んでしまったからである.但し,特異正値解の解明や,逆二次のポテンシャルを持つ方程式に関する解明は順調に進展している.そのため,自戒の意味も込めて,「やや遅れている」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,投稿がずれ込んでしまった論文を早急に仕上げ,投稿をする.この論文では,球面上の領域に Neumann 境界条件を課した問題設定であったので,定数定常解からの分岐を考えれば十分であったが,Dirichlet 境界条件を課した場合を考える.この場合,「緯度」のみに依存する結果は2010年に得られているので,その成果を踏まえ,緯度以外にも依存する解を考慮に入れた分岐を考える.領域を球面全体に近づけていった場合にどのような現象が起こるかを解明する.Neumann 条件下での解析から有用な情報が得られると考えている. また,同様に,正値特異解の赤道に関して非対称な正値特異解の存在・非存在についても検討を加える.さらに,逆二次のポテンシャルを持つ楕円型方程式についても考察を行う.
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Causes of Carryover |
研究連絡の出張予定であった旅行をやむを得ない都合により取り消したため,未使用額としての残ってしまった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度で取り消した出張を平成28年度中に実施することで,平成27年度の残額を使用する予定である.
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Research Products
(8 results)