Outline of Annual Research Achievements |
1.高階の totally characteristic な非線型偏微分方程式で, 空間変数について不確定特異点をもつ方程式の発散級数解の Maillet 型定理については, 一昨年度と昨年度の Lastra氏(Alcala大)との共同研究で最終的な形で解決された。本年度は, この結果を論文の形にまとめて, 研究集会での発表や雑誌への投稿を実行した。 2.上の1.の研究に関連して, 多くの新しい問題が出てきた。方程式の主要部は同じだが残りの部分が非コワレフスキー的な場合には, 1.と同様の議論をしても, 得られた条件が必要十分になっていない多くの例が現れた。状況を見極めるために, Lastra氏, 山澤浩司氏(芝浦工大)と共同で, 多くの例を計算してみた。1.と異なる多くの現象を見つけたが, 一般的な状況は未だ不明である。今後, 更なる研究が必要であろう。 3.Briot-Bouquet 型の非線型偏微分方程式の特異点をもつ解の構造は, 時間変数 t の正冪程度の特異点をもつものについては, Gerard-Tahara (Publ. Res. Inst. Math. Sci. 1990) と Yamazawa (J. Math. Soc. Japan, 2003) で解決されていた。そして, いくつかの例では, それ以外に, 対数的な特異点が現れることも知られていた。この, 対数的特異点についての組織的な研究を行った。「対数的特異点は, 方程式の特性指数関数が恒等的に零になる場合にのみ現れる」というのが結論である。ただし,「特性指数関数が恒等的に負の数になっている」時のみ, 証明が出来ていない。これを証明するには, 解の一意性を言えば良いのだが, 今年度中には達成できなかった。来年度中には解決したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は主として, 研究結果のまとめと, 新しい現象・問題の研究の準備に費やした。全体として, 順調に進んでいると言える。
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Causes of Carryover |
(理由)予定していた出張を取り止めたことと, 前年度の未使用額があったために, 今年度も使い残しが出る結果となった。研究の全体を考えて, 無理な予算執行を行なうよりも次年度の執行にまわした方がより効果的であると判断した。 (使用計画)必要な備品, 消耗品(主として学術図書), 研究打ち合わせ・研究発表のための旅費に使用する予定。
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