Outline of Annual Research Achievements |
1.A. Lastra氏(Alcala大), 山澤浩司氏(芝浦工大)と共同で, 高階の totally characteristic な非線型偏微分方程式で非コワレフスキー的な場合に, 発散級数解のMaillet型定理についての研究を継続した。いくつかのモデル方程式については, ジェヴレイ指数に関する必要十分条件は導けた。しかし, それが一般の方程式にどのような条件として記述できるのか?については未だ不明である。今後, 更なる研究が必要であろう。 2.特異点をもつ一階の非線型偏微分方程式の解の一意性についての研究を行なった。次の3つの場合について, ものすごく弱い仮定の下で解の一意性を示すことに成功した。3つの場合というのは, Briot-Bouquet型の非線型偏微分方程式の場合, nonlinear totally characteristic と呼ばれる偏微分方程式で x=0 に確定特異点を持つ場合, および, x=0 に不確定特異点をもつ場合, の3つである。 3.2.の結果, Briot-Bouquet型の非線型偏微分方程式について「解の対数的特異点は, 方程式の特性指数関数が恒等的に零になる場合以外には現れない」ことの証明が完了した。「方程式の特性指数関数が恒等的に零になる場合、本当に対数的特異点をもつ解が存在するのか?」という問題についても研究を行った。その結果, いくつかの基本的な条件のもとで,そのような解が実際に構成出来ることが分かった。これで, 「すべての特異点をもつ解を決定する」という本研究の目的は, Briot-Bouquet型の非線型偏微分方程式の場合には, 完全に達成された。
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