2016 Fiscal Year Research-status Report
デジタル指紋及びグループ検査に共通する組合せ構造とアルゴリズムに関する研究
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15K04974
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
繆 いん 筑波大学, システム情報系, 教授 (10302382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 良叔 筑波大学, システム情報系(名誉教授), 名誉教授 (30165443)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | デジタル指紋 / グループ検査 / 組合せ構造 / アルゴリズム / マルチメディアIPP符号 / 分離可能符号 / ゼロ差均衡関数 / 最適 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、デジタル指紋理論及びグループ検査理論に共通する組合せ構造の性質を調べ、その共通な組合せ構造を構成し、関連するアルゴリズムを開発することを目指している。 マルチメディア・コンテンツの著作権を保護するために、マルチメディアIPP符号を導入し、極値グラフ理論を用いて、その符号のサイズにおける上界を導いた。その上界に到達する最適なマルチメディアIPP符号を有限幾何により構成した。分離可能符号及びその拡張について、差行列などの組合せ構造を利用し、上界に到達する最適な符号を構成した。関連結果は論文「M. Cheng et al., Codes with the identifiable parent property for multimedia fingerprinting」や「M. Cheng et al., Bounds and constructions for 3-separable codes of length 3」、「J. Jiang et al., Strongly separable codes」としてジャーナル「Designs, Codes and Cryptography」に掲載された。 一部の符号や暗号化関数の拡張として導入されたゼロ差均衡関数について、拡張円分法により新しい無限系列を構成した。それに基づいて、constant-composition符号やdifference systems of sets、周波数ホッピング系列も構成した。その結果を論文「H. Cai et al., Zero-difference balanced functions with new parameters and their applications」としてジャーナルIEEE Transactions on Information Theoryに採用された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画は、(1) ユーザ数が分離可能符号のサイズの上界を超える場合の不正ユーザを特定する指紋システムを提案・構成することや、(2)SUT familyに基づく陽性識別アルゴリズムを改善するために導入された組合せ構造の性質を解明すること、(3) 誤り訂正符号の追跡能力を調べることとした。 現段階では、研究計画(1)及び(3)は予定通りおおむね順調に進展しているが、研究計画(2)はやや遅れている。その理由は主に二つある。(i)その組合せ構造が意外に分析しにくい。(ii)平成28年度の研究計画に含まれていなかったゼロ差均衡関数やトレーサビリティ・スキームに関する研究が当初予期しなかった目覚ましい進展ができ、それらの研究に多く時間を費した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は引き続き、デジタル指紋及びグループ検査に共通する組合せ構造やアルゴリズムの数理的性質を解明し、情報伝達・蓄積・プライバシー保護などに適用してみる。 (1)ブロドキャスト暗号化の鍵不正配分を防ぐためのトレーサビリティ・スキームを極値組合せ論の立場から研究し、そのサイズの上界を導き、その上界に到達する最適なトレーサビリティ・スキームを構成する。(2)電子指紋に使われているIPP符号は、グループ検査に使われているSUT familyの概念とよく似ている。その共通な組合せ構造やアルゴリズムを解明し、理論的な概念を導入することによって、既存の結果を改善する。(3)グラフ上のグループ検査について、陽性アイテムが高々一つである時の最適検査スキームを提案し、検査アルゴリズムを開発する上で、研究結果を投稿する。 今までの研究の発展として、次の二つの問題を挑戦してみたい。(1)デジタル指紋と差分プライバシーの間に緊密な関係が指摘されているが、不明なところがまだたくさんある。デジタル指紋と差分プライバシーの間の関係を明確にしたい。(2)古典的な誤り訂正符号はビッグデータの蓄積・伝達に相応しくないので、局所修復可能符号やキャッシング・スキームなどが近年導入された。局所修復可能符号やキャッシング・スキームなどに潜んだ組合せ的構造もデジタル指紋とグループ検査に共通するものが多く、究明したい。
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Causes of Carryover |
国際会議に出席したり、国際共同研究を行ったりするため、当初は外国旅費を計上したが、その後、国際会議の招待講演者になったことにより、外国旅費の支出がなくなったことから、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
指導する大学院生Yujie Guがマルタで開催するThe Second Malta Conference in Graph Theory and Combinatoricsに論文を発表し、繆とYujie Guがイギリスで開催する26th British Combinatorial Conferenceに論文を発表するため、外国旅費として使用する予定である。
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] 電子指紋の組合せ理論2017
Author(s)
Y. Miao
Organizer
日本数学会2017年度年会
Place of Presentation
首都大学東京(東京都八王子市)
Year and Date
2017-03-24 – 2017-03-27
Invited
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