2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04980
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
松田 晴英 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00333237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 良太 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (70581685)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 応用数学 / 離散数学 / グラフ理論 / 因子 / 木 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラフの因子問題とは、与えられたグラフに対して、特定の性質をみたす全域部分グラフを見つけるという問題である。全域部分グラフとは、与えられたグラフのすべての点と一部の辺からなるグラフのことである。本研究の目的は、次の3点の成果を上げることである。 (1) グラフ全体でもつ構造がグラフの一部分にもあり得るかを研究し、グラフの全体で知られている性質との関連性を追及していく。(2) グラフの木の構造を様々な角度から検証し、その存在定理の解決方法を提示する。(3) 上記2点の融合を提案し、新たなグラフの方向性を示す。 平成28年度は主に、(1)の研究を進めた。つまり、グラフ全体でなく、グラフの指定した一部にも同様な性質があるかについて追求しようとするものである。過去の研究では、これまでに知られている多くの因子を包含する新たな因子を定義し、グラフがこの因子をもつための必要十分条件を得ることができた。これにより、上記(1)を部分的に解決している。この結果をもとに、平成28年度は次のような計画で研究を進めた。 (1) 平成28年度の早い時期に、すでに知られている因子に関する結果をMathSciNetやグラフ理論関係図書により、多角的に調査、検討する。この調査・検討では、グラフ全体に存在する構造を部分にも見出すという観点と次年度以降に取り組む課題である全域木へ発展させるという観点から取り組む。(2) 十分な調査、検討をしたのち、遅くとも平成28年度後半には、証明に取り組む。(3) 得られた結果を論文としてまとめるとともに、学会、研究集会等で順次口頭発表する。 上記の取り組みの成果として、研究分担者の松原良太氏と茨城大学の松村初氏との共同研究により、グラフのk-spiderという概念を導入し、与えられたグラフにおいて、全域k-spiderが存在するための十分条件を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究においては、グラフのk-spiderという概念を導入した。k-spiderとは、1点のみが次数2以上k以下であり、その他の点の次数が2以下である木をいう。与えられたグラフGにおいて、隣接していない任意の2点の次数和が|G|+k-1以上ならば、グラフGには、全域k-spiderが存在することを証明した。この結果を含む論文は国際専門誌に採録されることが決定しており、上記のとおりの進捗状況と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は主に、研究目的(1)を遂行するべく、研究を進めてきた。今後も、この研究目的(1)の更なる進展および、研究目的(2)や(3)での成果を上げたいと考えている。
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Causes of Carryover |
本研究で得られた研究成果を海外で開催される国際会議で発表するための予算と想定していたが、当該会議までに成果がまとまらず、見送ることにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度には、国際会議にて発表したいと考えており、その予算として活用する。
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