2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K04991
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
山本 野人 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (30210545)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 精度保証 / 力学系 / Lyapunov関数 / 写像度 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度は、Lyapunov関数の精度保証による構成法を整備し、さらにその応用として力学系における解析ツールを開発した。特に、双曲型平衡点がホモクリニック軌道を持つ可能性がある場合に、その存在検証を精度保証によって行う手法を構築した。これはホモクリニック軌道の余次元が2の場合に適用可能となる方法であり、明示的に構成されたものとしては全く新しいものとなる。 その第一の特徴は、写像度を用いることである。余次元2のケースでは、軌道の捕捉に関して中間値定理のような初等的な手法が使えないという困難があった。これを解決するために、Brouwerの一致点定理を用いている。この定理はよく知られているBrouwerの不動点定理の基礎を与えるもので、対象となる写像を円周上に制限した写像の写像度が0でないことを前提とする。この前提を確認するために、写像度の検証のための精度保証理論を新たに創り出し、定理の形にまとめた。これは円周上での写像度が1であることを確かめるための定理であるが、これ自体の発展も見込めるものであり、写像度の精度保証という方向性を開拓したことを意味している。 第二の特徴は、Lyapunov Tracing と呼ばれる置換積分手法の開発である。ホモクリニック軌道を含む流れ場においては、各々の解軌道がLyapunov関数の0レベルセットに到達するまでに時間無限大の積分を要することになる。このことは定式化におけるある困難を生じさせるが、時間変数をLyapunov関数値そのものに置換して積分することでこれを避けることができる。この手法は、単にホモクリニック軌道の検証の構成を助けるだけでなく、例えば爆発解のような無限大発散を伴う数学的対象の精度保証による扱いに道を拓くものである。実際に、爆発解の研究者がLyapunov Tracing を応用して成果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果報告で述べたように、Lyapunov関数の精度保証法の応用発展に成功し、この方面の新たな展望を切り開いたことは大きな進捗であると自負している。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度の成果を発展させた研究方向としては、以下のものが挙げられる。 ● 写像度の精度保証法を発展させること ● Lyapunov Tracingの応用を広げること ● 高次元力学系への応用例を提示すること これらのほか、非双曲型平衡点に対するLyapunov関数の構成の研究を準備している。これはテンソル解析に基づくものであり、成功するば非常に大きな発展が望めるものである。また、いわゆるHybrid力学系へ適用も行い、歩行モデルなど実際の現象を記述する力学系の解析ツールについても開発を進めたい。
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Causes of Carryover |
購入物品の価格割引などがあり、3月の最終発注に対する支払いで余剰が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度には学会発表に軽量の端末を購入する予定である。その資金に充てる。
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Research Products
(6 results)