2016 Fiscal Year Research-status Report
3成分反応拡散系の様々な特異点近傍におけるパルスダイナミクスの理論的解明
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15K04995
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
池田 榮雄 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (60115128)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 反応拡散系 / 進行波解 / 特異摂動法 / ドリフト分岐 / ホップ分岐 / サドル-ノード分岐 / パルスダイナミクス / 縮約理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
・サドルノード分岐点近傍でのパルスダイナミクスの解析:まず,各分枝の安定性を調べた。一方の枝は安定であり,他方の枝は不安定であることが示された。また,特異点であるサドルノード分岐点での線形化作用素の全ての固有関数,その共役作用素の全ての固有関数を計算した。そして,それをもとにパルスの消滅が論理的に示された。 ・複合分岐点(サドルノード+ドリフト,サドルノード+ホップ,ドリフト+ホップ)近傍でのパルスダイナミクスの解析:縮約系の構造は複合固有関数の1次結合になるので,係数の計算はかなり複雑である。現時点では,ドリフト+ホップの複合分岐点の存在は確認されているが,サドルノード+ドリフト,サドルノード+ホップの複合分岐点に関しては,パラメータサーチをしている段階である。 ・3種競争拡散系の進行波解の分岐(トランスクリチカル分岐):3種競争拡散系に対して,2種共存の安定な進行波解からの3種共存の進行波解の分岐現象を考察した。上記と違い,進行波解(定常解でない)から別のタイプの進行波が分岐する状況は,これまで殆ど考察されてこなかった。分岐点ではトランスクリチカルな分岐になることが示された。 ・毒性を持つ2種餌食-1種捕食者モデルにおける特異極限による縮約系の導出:欧米等では「Harmful Algal Bloom (HAB)」と呼ばれる毒性プランクトンの異常発生が環境問題として重要視されているが,そのモデル方程式に対して,特異極限の手法を適用し,Non-localな項を持つ2種競争拡散系に縮約することに成功した。 ・3重0固有値の出現:3成分FitzHugh-Nagumo方程式系の定常フロント解を構成し,その周りでの線形化固有値問題を考察した結果,3重の0固有値を持つ場合が存在することが確かめられた。すなわち,3次のJordan標準形に退化する0固有値に対する一般化固有関数が全て構成出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3変数系になると計算はかなり複雑になる為に,予定より少し遅れ気味であるが,概ね予想した結果が得られている。また,3変数系に対する幾つかの新たな結果も得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,複合分岐点(サドルノード+ドリフト,サドルノード+ホップ)のパラメータサーチを実施し,その結果をもとに複合分岐点近傍でのパルスダイナミクス,さらに,非一様媒体との相互作用を考察する。それと同時に,別角度から,3重0固有値を持つ特異点近傍でのフロントダイナミクスも考察する。
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Causes of Carryover |
当科研費課題に関連した国際共同研究のための研究集会がオーストラリアで開催され,その参加費用等の為に前年度の繰越金を使う予定でいたが,主催者側から航空運賃,滞在費等のサポートを受けることが出来た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の共同研究のための情報交換旅費等に使いたいと考えている。
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Research Products
(9 results)