2017 Fiscal Year Research-status Report
3成分反応拡散系の様々な特異点近傍におけるパルスダイナミクスの理論的解明
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15K04995
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
池田 榮雄 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (60115128)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 反応拡散系 / 進行波解 / 特異摂動法 / 縮約理論 / Bogdanov-Takens分岐 / サドルノード分岐 / ドリフト分岐 / ホップ分岐 |
Outline of Annual Research Achievements |
・複合分岐点(サドルノード+ドリフト,サドルノード+ホップ)のパラメータサーチを行い,上記分岐点近傍での縮約系の導出の計算に着手しているが,分岐パラメータが増え,非常に複雑な計算を強いられている。上手くクリア出来る方法を考察中である。 ・既に得られている定常パルス解に関する結果(存在,安定性,パラメータ依存性)を論文としてまとめ投稿し,既に出版されている。これは今後の計算の基になるものである。 ・3種競争拡散系に対して,2種共存の安定な進行波解から3種共存の進行波解が分岐することが確かめられた。進行波解から進行波解が分岐する事例はこれまであまり例がなく,非常に珍しい。また,3種共存の進行波解の存在も理論的に示されたのは初めてである。この進行波解の分岐(トランスクリティカル分岐)の結果を論文としてまとめているが,まだ完成はしていない。 ・我々の扱っている3成分FitzHugh-Nagomo方程式系において,定常フロント解の周りでの線形化固有値問題は3重の0固有値(3次のJordan標準系)を持つことが確かめられたが,その固有関数を使って中心多様体への縮約方程式の導出に力を注いでいるところである。国際共同研究者のアイデアもあり,縮約系が計算できるめどがたった。フロント解に関してはホップ分岐による周期進行波解の分岐は起こらないが,上記の3重の0固有値の出現によりホップ分岐と異なった周期進行波の分岐(Bogdanov-Takens分岐)が起こると確信している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
個人的な用件で海外出張及び国内出張が困難となり,また研究のための時間も制約を受けてしまった。その理由は両親の介護です。京都府の田舎町の老人ホームに入所していましたが,昨年3月父は肺がんで余命3~6ヶ月と医師から告げられました。その2ヵ月後の5月に母が突然いっさい食事を取らなくなり,精神科に入院しましたら,レビー小体型の認知症の可能があると診断され,9月末まで点滴のみで闘病生活を送りましたが,特殊な治療の甲斐あって,少しづつですが食事をするようになりました。そして11月にはもとの老人ホームに戻ることが出来ました。父も何とかまだ生きています。この状況で,老人ホーム,病院,そして富山と何度往復したか分かりません。
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Strategy for Future Research Activity |
積み残している複合分岐点(サドルノード+ドリフト,サドルノード+ホップ)近傍での縮約系の導出の計算を行うと同時に,非一様性の影響による解のダイナミクスの変化を縮約系を用いて解析する。さらに,3重の0固有値(3次のJordan標準系)を持つ特異点での縮約系の計算を行う。当初の計画では,今年度は空間2次元の球面スポット解のダイナミクスを扱う予定でいたが,上記の理由により難しくなったので,一年間の研究延長をお願いしようと考えている。
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Causes of Carryover |
(理由)遠方いにる両親の介護の為,海外出張及び国内出張を極力控えたことにより次年度繰越金が発生した(具体的な内容は上記に記載)。
(使用計画)最終年(H30年)に一年間の延長をお願いしようと考えています。
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Research Products
(5 results)