2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K05004
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤田 敏治 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60295003)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 動的計画 / 決定過程 / ノンシリアル推移 |
Outline of Annual Research Achievements |
多段決定過程の立場からノンシリアル動的計画を展開すべく、相互依存型決定過程および非決定性動的計画をもとに考察を深め、相互依存型決定過程についてこれまでの結果を整理するとともに新たな展開を得た。 実際、ある種の再帰的構造を持つ問題が、1ステージの相互依存型決定過程モデルによりうまく扱えることを示した。具体例として、従来、非決定性動的計画の枠組みで定式化していた完全情報組合せゲームの必勝法を求める問題をとりあげ、1ステージ相互依存型決定過程モデルを適用することにより、より自然に、そして数値計算面においてもより効果的な扱いが可能となることを示した。また、新規の問題として、折り紙立体の同型判定問題について考察した結果、この問題の持つ2重再帰的な探索の仕組みが、1ステージ相互依存型決定過程モデルで効率的に表現できることが分かった。この成果をもとにした計算機上での数値計算により、一定数の折り紙ユニットで構成可能な凸多面体の実質的な数の特定を、大幅に進めることができた。現状で、正方ユニットと呼ばれるものについて15個まで、そして三角ユニットについては10個までで構成可能な凸多面体数が特定されている。ただし、この時点で高性能なパソコンをもってしても、CPUの処理能力と記憶容量の両面でほぼ限界に達しており、さらなる改善が望まれる。なお、まだ考察段階ではあるが、マルコフゲームと呼ばれる枠組みが、いわば確率的推移を持つ1ステージの相互依存型決定過程モデルと解釈可能で、ノンシリアル動的計画の枠組みが、従来の様々なモデルを包含して展開していく手ごたえを感じている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目的では、相互依存型決定過程と非決定性動的計画について、ノンシリアル動的計画の見地から考察を深めることであった。この観点で考察を進めた結果、ある種の非決定性動的計画のモデルと相互依存型決定過程モデルの拡張が結びつき、1ステージの決定過程が交互に現れる確定的推移モデルを確立した。提案したモデルは、もちろん従来の相互依存型決定過程の特殊ケースとも捉えることができるが、特定の2重再帰構造をうまく表現しており、相互依存型決定過程を構成する決定過程間の依存関係についても、1ステージ化することによりうまく処理している。新たな応用の可能性をもつ概念であり、ノンシリアル動的計画の枠組みを拡充する有力なものと考えられる。実際、「完全情報組合せゲームの必勝法を求める問題」および「一定数の折り紙ユニットで構成される立体の同型判定問題」へ適用し結果を得ている。 以上、実施計画に照らせば、27年度分の「従来の研究成果の再構築」については、十分な成果を出したとまでは言えない状況となっているが、28年度計画の「新たなモデルの発掘」を実現し、また「折り紙立体の類別(同型判定)問題」も解決しており、進捗状況について、総合的にはおおむね順調と判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、従来の非決定性動的計画および相互依存型決定過程のモデルをもとに、より大きな枠組みとしてのノンシリアル動的計画へと発展させること、そして応用を念頭にノンシリアル動的計画の具体的モデルを決定過程モデルとして複数構築すること、最終的には、それらを体系化することを目指す。 まずは、ノンシリアル動的計画の立場から従来の結果を見直し、統一的な観点で整理する。これは、新たなモデルの発掘・解析とも平行して行う必要がある。文献や実際の問題から、再帰的構造を抽出し、ノンシリアル動的計画の本領が発揮されるモデルを探索し、ノンシリアル動的計画の構成要素等についても考察を深めていく。 あわせて、得られた研究成果をもとに、本学のオープンキャンパス等において、数学の奥深さを実感させる展示・実演企画、および折り紙立体を題材にした地域子供向けの理数教室で利用する新たな教材等について検討する。
|
Research Products
(7 results)