2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K05004
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤田 敏治 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (60295003)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ノンシリアル推移 / 決定過程 / 動的計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は主として合流型推移をもつ決定過程について考えた。合流型推移とは,ノンシリアル動的計画(Nemhauser, Introduction to Dynamic Programming, Wiley, 1966))で規定されているノンシリアルな(非直列型の)状態推移の一つである.ノンシリアル推移は,その局所的構造から分岐型(Diverging Branch Systems),合流型(Converging Branch Systems),そして分岐・再合流型2種(Feedforward Loop Systems, Feedback Loop Systems)の計4種類に分類されている. 得られた成果は、合流型推移をもつ決定過程問題の定式化と再帰的解法の導出である。これまで、陽に扱われることがなかった合流型決定過程問題を新規に定式化し、再帰的構造について解析した。そして動的計画法による再帰式を与えた。この結果は「合流型推移をもつ決定過程について」とのタイトルで京都大学数理解析研究所講究録に掲載予定である。さらに、3種類の部分問題構成法に基づく再帰式を導き、「Three Recursive Approaches for Decision Processes with a Converging Branch System」として Bulletin of the Kyushu Institute of Technology, Pure and applied mathematics に発表済みである。 なお、「折り紙ユニットによる立体作成問題を通した小中高校生向け理数教室の試行」については、出前講義・大学模擬授業や科学館での講座など計8回(小学生向:6回,中学生向:1回,高校生向:1回)において実施し、小中高校生の数学(算数)への興味関心を高めることに貢献した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までは、主に分岐型推移について考察し、非決定性動的計画・相互依存型決定過程の枠組みについて結果を得てきた。そして今年度より合流型推移をもつ決定過程の研究に本格的に着手した。合流型推移においては,一般に複数の初期状態があり,途中、状態推移の過程で合流し,そして最後は1つの終端状態に達しシステムの終了となる.この合流型推移をもつ有限段決定過程問題の構造について検討し、新たに定式化を行った。そして、動的計画法による再帰的解法を与えるべく、合流型推移の構造を精査し、後ろ向き2種類および前向き1種類の計3種類(細かく分ければ4種類)の部分問題構成法を与え、再帰式を導くことに成功した。なお、各再帰式の優越については、扱う問題や計算機への実装方法にもよると考えられ、現状で十分に考察できてはいないが、一部について数値実験を行い計算量の比較を行った。実際、後ろ向きの構成方法で1状態分ずつ部分問題を拡大していく構成方法において、(状態推移図を終端状態を根とするツリーと見た場合の)「深さ優先」と「幅優先」の2つの考え方があるが、後者の方が計算量の面では一般に有利であることが確認できている。 全体の研究期間からみて、29年度中に合流型推移に関する研究を一通り終了しておきたいところであったが、新たにゼロから構築したモデル故、再帰的解法の慎重な考察が必要となり、若干進捗が遅れている。しかしながら、複数の再帰的解法など、当初の想定と比較してより幅広い結果が得られている面もあり、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
合流型推移をもつ決定過程に関する再帰的解法に関する研究の推進、そして分岐・再合流型推移をもつ決定過程のモデル化と解法の導出が今後の主たる目的となる。まず前者については、29年度の成果を基本としつつ、合流型推移の構造についてさらなる考察を進める。数値実験による再帰的解法の比較検討も進める。また、分岐型推移上のモデルが2種類構築されたように、合流型推移においても複数のモデルが必要となる可能性があり、この点に関する検討も進めていきたい。後者については、分岐型推移および合流型推移に関する成果を必要とする故、合流型決定過程に関する研究が一定のまとまりを得たのち検討を始める。 なお、折り紙ユニットによる立体作成問題を通した小中高校生向け理数教室については、より深いところまで感じさせる内容への改良を考える。ただし、単発の講座では、どうしても時間が限られてしまう点が問題であり、複数回にわたる講座の実現性についても検討する。
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Research Products
(8 results)