2017 Fiscal Year Annual Research Report
Mathematical and numerical research on evolutionary games that describe population concentration and outflow
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15K05005
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
田畑 稔 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70207215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江島 伸興 京都大学, 高大接続・入試センター, 特定教授 (20203630)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Krugman model / 数値計算 / replicator方程式 / 賃金方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
2008年度ノーベル経済学賞がKrugmanの空間経済学への貢献に対し授与された.この研究の中核モデルがDixit-Stieglitz-Krugman model (DSK model) である.このモデルは資本集積と労働力移動よる経済の自己組織化現象を表す空間経済学的進化ゲームであり,高い実証性を持ち,生産資本が枯渇する地方から都市への人口流出のシミュレーションへの応用が期待されている.しかしモデルの漸近挙動は長らく未解明のままであった.命題『ある点の近傍で賃金密度と移動コストが十分に低いならば,その点の近傍で有限時間内に人口はゼロになり,その近傍から離れた有限個の点で人口密度が指数関数的に増大する(大都市への人口集中)』を均衡解の近傍という制限付きで証明した.数値計算により今後10年間の地方都市からの人口流出と大都市への人口集中を定量的に予測することができた. 賃金方程式の二重非線形性のため,replicator方程式の係数に含まれる賃金方程式の解作用素は,人口密度の微小変化に鋭敏に反応する.そのためモデル方程式系の解は初期条件に対して非常に不安定であり,人口密度を直接評価するのは困難である.これに対して,密度関数の直接評価を断念し,密度関数を平準化して得られる数理統計学的不変量を解とする方程式を導出し(不変量方程式導出),その解を評価し(不変量評価),数理統計学的手法を用いて不変量と元の密度関数の関係を明らかにし(比較定理),不変量評価と比較定理を組み合わせて元の密度関数を評価し直す迂回的手法を開発した. 通常の方法でシミュレーションを実行しようとすると,天文学的な数の初期値と移動コストの値の場合分けが必要である.そこで我々は予想命題を用いて挙動の分かっている場合を除外する.これにより本年度に行う数値計算の場合分けを大幅に減らすことに成功した.
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Research Products
(2 results)