2015 Fiscal Year Research-status Report
力学系の方法による葉序螺旋タイリングの分岐の研究とその周辺
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15K05011
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
山岸 義和 龍谷大学, 理工学部, 講師 (40247820)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 螺旋葉序 / タイリング / ボロノイタイリング / 円板充填 / 連分数 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルキメデス螺旋のボロノイタイリングの大域的分岐について、いくつかの研究結果を得た。まず、トポロジーの手法を応用して、タイリングのパラメータ空間を連続化することにより、分岐図でタイリングを記述できることがわかった。また、平面上の円板が極座標に移しても凸であることを利用して、アルキメデス螺旋の螺旋の本数の単調性を示した。 対数螺旋上の円板充填モデルは20世紀初頭にオランダの植物学者 van Iterson によって提案された螺旋葉序の幾何学的モデルである。このモデルにおける円板の半径が、平面の距離関数の公理を満たすことを示した。さらに、この距離関数によって、対数螺旋上のボロノイタイリングの分岐曲線が記述できることがわかった。対数螺旋上のボロノイタイリングと円板充填の分岐図が、互いに双対グラフであることを示した。証明は自明でなく、連分数の性質を利用するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線形格子上では、円板充填とボロノイタイリングは一種の双対関係にあることは既に知られていた。対数螺旋格子上での円板充填とボロノイタイリングの双対性は、線形格子の理論の非線形版にあたる。証明も連分数の性質を利用しており、自明でない。このように、理論面で、当初予定していなかった重要な研究成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、対数螺旋の円板充填の研究成果を論文にまとめる。アルキメデス螺旋のボロノイタイリングの研究は、論文としてまとめるにはまだ未整備な面が残っているので、確認のうえ、論文を完成させたい。長期国外研究員としての海外滞在が終了したので、本務校の研究環境を整備してその他の問題にも取りかかりたい。
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Causes of Carryover |
2015年度は長期国外研究員として米国スミス大学に滞在し、スミス大学の研究環境を利用することができた。とくに葉序関連の古い文献を調査することができた。C. Gole 教授および P. Atela 教授との議論がたいへん有益で、主として数学の理論面での研究に進展があった。そのため、当初の予定よりも研究費の使用を少なく抑えることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本務校である龍谷大学の研究環境は一年間整備する機会がなかったので、備品費および消耗品費を利用して研究環境の整備を図る。また、今年度は国内旅費を利用して研究打合せおよび研究成果報告を行う。
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Research Products
(8 results)