2016 Fiscal Year Research-status Report
力学系の方法による葉序螺旋タイリングの分岐の研究とその周辺
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15K05011
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
山岸 義和 龍谷大学, 理工学部, 准教授 (40247820)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 螺旋格子 / ボロノイタイリング / 円板充填 / 連分数 / Farey 数列 |
Outline of Annual Research Achievements |
対数螺旋格子上の円板充填の分岐に関する研究成果を論文にまとめた。まず平面上に、斉次で有界な距離関数が定義される。線形格子においては、平行四辺形が円に内接するとき、平行四辺形は長方形であって、二つの対角線の長さは等しい。対数螺旋格子においては、平行四辺形に相当する四角形が円に内接するときは、二つの対角線の長さが、この斉次有界な距離関数で測ったときに等しい。このような性質をもつ有界距離関数が、対数螺旋格子の幾何において重要な役割を果たしている。対数螺旋格子は、通常の場合、ボロノイタイリングの斜列係数を三つもち、円板充填の斜列係数を一つもつが、円板充填の斜列係数はボロノイタイリングの斜列係数のいずれかに等しいことを示した。これら斜列係数は、回転角の近似分数の分母として現れる自然数である。対数螺旋格子の円板充填およびボロノイタイリングの分岐図は Farey 木の構造をもつ。 また、アルキメデス螺旋のボロノイタイリングの大域的分岐に関する研究成果を論文として準備した。 螺旋葉序は回転対称性をもつ場合もある。本研究においても、対数螺旋に回転対称性を加えた格子上の円板充填およびボロノイタイリングの分岐の研究に取りかかった。回転対称性のパラメータについて無限大の極限を考えたとき、正規化分岐図が、円筒面上の円板充填の分岐図に収束するようである。 また、円筒面上の粘着性円板充填の研究に取りかかった。この場合は、コロイド状に連なった円板斜列が、回転角の連分数近似から定まる準周期性をもって並ぶ様子が観察される。斜列係数および準斜列係数の概念が定義されるようである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平面上の斉次距離関数によって対数螺旋格子上の円板充填とボロノイタイリングが統一的に記述できるようになった。このため、回転対称性を加えた場合についても、円板充填とボロノイタイリングの統一的な議論が可能になってきた。 粘着性の円板充填のモデルは、格子という制約を外した場合の円板充填で、今年度に新しく取り組み始めたものだが、簡単な設定にもかかわらず興味深い現象が見られる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、アルキメデス螺旋格子上のボロノイタイリングに関する研究成果を論文にまとめる。対数螺旋格子に回転対称性を加えた場合の円板充填およびボロノイタイリングの研究についても、なるべく早い時期に論文としてまとめたい。粘着性円板充填については、斜列係数および準斜列係数の定義など、まだ解明されていない部分が多いので、これについても研究を進めたい。
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Causes of Carryover |
2016年度は、前年度からの繰越額があった。当年度受入額を越える金額を使用したが、次年度使用額が生じることとなった。今年度は海外出張を控えて国内で論文執筆に時間を割当てたことが大きな理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度には新しい研究の方向性が得られたが、日本に滞在中の国外研究者との交流がたいへん有益であった。2017年度は、新しい研究の方向性を発展させるべく、国内および国外旅費を利用して研究打合せおよび研究成果報告を行いたい。
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Research Products
(9 results)