2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K05013
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
間野 修平 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 准教授 (20372948)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 統計数学 / 応用数学 / データ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
分割の確率モデルはノンパラメトリック・ベイズ統計などを通してデータ解析の基礎になります.基本であるDirichlet過程を例として説明します.サイズの分布はPoisson-Dirichlet分布と呼ばれ,ある測度値拡散過程の定常分布です.逐次抽出は中華料理店過程と呼ばれます.得られる標本は分割の確率過程の定常分布です.様々な数学的な問題に関わりますが,主に確率論の枠組みで議論されていて,データ解析の視点が不足していると考えています.本課題では,確率論と代数的枠組みの融合を手がかりに,モデルの探求と計算機を援用したデータ解析の方法の提案を目指しています.29年度は,特にデータ解析の方法に関わる成果を得ました.サンプラーは,相似検定や事後分布からの抽出など,データ解析の多くの局面で欠かせません.正規化定数の計算が現実的でない問題についてはマルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)を用いるのが標準的です.しかし,MCMCには,定常分布に達していることを保証することが難しいこと,自己相関の存在など,原理的に避けられない欠点があるので,正規化定数の計算が可能であれば,直接抽出する方が望ましいです.本研究では,計数データの標準的なモデルである対数アフィンモデルから交換可能な標本を抽出して得られる分布を十分統計量で条件付けて得られる分布について,正規化定数を数え上げの計算を避けて計算することで,直接抽出のアルゴリズムを導出しました.それが可能な理由は,上記の分布の規格化定数はGel'fandらにより定義されたA超幾何多項式になりますが,それらの超幾何函数として漸化式を組み合わせて用いることで数え上げを避けられるからです.差分holonomic勾配法と呼ばれる数値計算法の例になっています.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,一昨年度後半から昨年度前半に得られた結果(研究実績の概要でのべたアルゴリズムを含む)を論文として投稿し,刊行されました.その周辺について,数学会年会,国内外の研究集会,研究セミナー,市民講演会で講演しました.本課題の成果をモノグラフにまとめ,国際的な交流も続けています.総合的に判断して,おおむね順調に進展していると考えています.
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進展しています.今後も継続して推進します.
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Causes of Carryover |
(理由)適切に執行しましたが,前年度の繰越額が大きかったため,残りました. (使用計画)次年度は使用額が多い予定があるので,次年度に助成を頂く分に加算して使用します.
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Research Products
(13 results)