2016 Fiscal Year Research-status Report
近赤外線輝線の直線偏光分光観測に基づく若い恒星状天体の質量降着・放出現象の解 明
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15K05023
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
秋田谷 洋 広島大学, 宇宙科学センター, 特任助教 (60450186)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 天文学 / 赤外線 / 偏光 / 分光 / 前主系列星 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、観測装置HONIRによってこれまでに取得された近赤外線偏光分光観測データの解析を進め、装置の性能評価と偏光分光データ解析の精度向上に繋がる適切な解析手法の開発を行った。 一方で、既に搭載されている偏光観測機能を用いて、従来から継続している若い恒星状天体の長期モニター観測や較正用天体の観測を実施し、本課題で実施する予定の高分散偏光分光観測に向けた予備調査ともなるデータを取得した。 HONIR装置のこれまで搭載した機能に関する基本的な性能評価が一段落したところであるので、装置の主要機能や性能評価の結果などについて情報を取りまとめ、装置利用者に向けた文書整備を進めた。また、これらについては、査読論文にて出版すべく執筆作業を進めた。 本研究でかなた望遠鏡HONIRへ導入を予定している高分散偏光分光機能は、他の望遠鏡・装置の観測計画と連携して用いることで、新しい観測研究の世界が開ける可能性がある。その調査のために、他の機関・研究グループで進めている天文学観測研究の現状について、研究会への参加を通じて情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、課題としている観測研究に必要な近赤外線用グリズム2点および専用スリットマスクの設計と購入、および、適切な輝線比較光源の選定・購入を実施する予定であった。 しかし、研究代表者の健康上の理由による長期間の研究活動からの離脱によって、実施することができなかった。 同じ理由にて、国内外の研究会に参加しての成果発表や情報収集も、同様にほとんど実施することができず、年度末の数度にとどまった。 HONIRの現状の偏光観測性能評価に関わる較正観測データの取得や、突発的に明る くなった若い恒星状天体の長期モニター観測データについては、共同研究者にデータ取得を依頼することで実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に実施する予定であった近赤外線高分散偏光分光用グリズム2点、専用スリットマスクの詳細仕様の決定と購入、および、適切な輝線比較光源の選定・購入を実施する。また、輝線光源挿入ユニットの設計を行い、部品発注と組み上げを行う。 HONIR装置の偏光観測精度の向上に必要な較正観測データの取得や、若い恒星状天体の観測データの取得・解析、解析環境の整備は、現有の光学素子を用いた状態で引き続き継続する。 今年度後半には先述の光学素子・機器を東広島天文台かなた望遠鏡HONIR装置に搭載し、同装置を用いて主要な前主系列星の近赤外線輝線の偏光測定を実施する。 また、HONIRによる偏光観測結果や機器開発の進捗について、国内外での成果発表を行う。特に、現状のHONIR装置の状況については、執筆中の査読論文にて年度内に公表する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の健康上の都合による長期間の研究活動の中断・研究遂行の遅延により、配分額の中で大きな割合を占める光学素子群の購入や、予定していた海外研究会(SPIE研究会)や国内学会・研究会への参加ができなかった。そのため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の研究全体計画の通り、東広島天文台かなた望遠鏡HONIRに装着するための高分散偏光分光観測用グリズム分散素子2種計2個、および、関連する部品・機器(偏光分光用スリット、比較光源)を購入する。 また、本課題の成果発表を行うための研究会参加や、東広島天文台に赴き観測研究を行う上での旅費に充当する。
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