2016 Fiscal Year Research-status Report
偏波と輻射輸送に基づく星形成過程の研究:星間磁場の解明
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15K05032
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
富阪 幸治 国立天文台, 理論研究部, 教授 (70183879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 正博 九州大学, 理学研究院, 准教授 (10402786)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 偏光・偏波 / 星形成 / 星間磁場 / 磁気流体力学 / 観測的可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)星間雲の主要な存在形態であると考えられる横向きに磁場に貫かれたフィラメント状の形態について、力学平衡状態の安定性について磁気流体力学シミュレーションを用いて解析した。(A)初期に正弦波的な密度ゆらぎを加えても、無秩序な密度ゆらぎを加えても、収縮の様子に、収縮に要する時間以外は定性的な差は生じないことが分かった。(B)貫く磁場が強くない場合は、フィラメント方向の揺らぎにある臨界波長が存在し、臨界波長より長い波長が不安定となること、また臨界波長の約2倍の波長が最も不安定となることが分かった。さらに、最も不安定な波長でフィラメントは分裂し、ガスが等温である限り、ほぼ軸対称で、磁場と垂直に伸びて、収縮を続ける擬円盤が形成されることが分かった。(C)一方で、磁場が強い場合、(調査された範囲で)揺らぎが成長しなかった。これから、臨界的な磁場強度を超えると、どのような波長の揺らぎに対してもフィラメントは重力安定であることを示している可能性があることが分かった。 (2)星形成後期過程での星周円盤の形成と進化を解明するために、3次元非理想磁気流体シミュレーションを用いて分子雲コアの進化の計算を行った。特に円盤への降着率と円盤形成の関係を調べるために、円盤へのガス降着率をパラメータとして計算を行い、降着率が高いほど後期段階のより早い段階で大きな円盤が出来ることを求めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)平衡状態の安定性の調査を開始した。微少な密度ゆらぎを導入しそれの成長を非線形磁気流体力学シミュレーションによって調べる方法を取った。その結果、ジーンズ波長程度に分裂し、その中で起こる暴走的収縮を追跡できることが分かった。星形成の初期条件についての理解が深まった。 (2)星形成を数値シミュレーションと最新のALMA望遠鏡での観測結果を比較するために、シミュレーションの観測的可視化を行った。その結果、円盤の形状や、磁場の構造などをよく再現することが出来た。円盤の形状などの一部の結果は査読論文として出版済みである。また、磁場の構造に関する研究をまとめて論文として出版する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
シミュレーションの結果の観測的可視化を推進し、ALMA望遠鏡による最新の観測と比較することにより、星形成初期から後期過程までの進化、擬円盤、星周円盤の進化やアウトフローの進化が観測的にどう見えるかを解明する。
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Causes of Carryover |
わずかに残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究会旅費等に充当する。
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Research Products
(10 results)