2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K05043
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 克司 東京工業大学, 理学院, 教授 (60221769)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゲージ重力対応 / 可積分系 / 超対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は常微分方程式と量子可積分系との対応(ODE/IM対応)とその超対称ゲージ理論への応用について研究し、以下の新しい結果を得た。 (1) 前年度までに確立したuntwisted affine Lie 代数のLanglands双対に基く変形されたaffine Toda方程式に付随する有質量ODE/IM対応を拡張し、B2型untwisted affine Lie 代数の場合の有質量 ODE/IM対応について研究した。ODEの解のWronskianから得られるBaxterのT-Q関係式、T-system, Y-systemの構造について詳しく調べた、その結果対応する可積分模型がA3/Z2型であることを確認した。これは untwisted affine Lie 代数以外の場合にもODE/IM対応が、Langlands双対性を保っていることを示唆しており、意義のある結果である。また常微分方程式(ODE)の解のモノドロミーがT-systemに非自明な境界条件を生じさせることが明らかになった。これは将来的に超対称ゲージ理論の構造因子の強結合極限を調べる上で重要な役割を果すことが期待される。 (2) SU(n)パラフェルミオン共形場理論の可積分変形は上記のB2型affine Toda方程式から導かれる量子可積分模型と似たT-system, Y-systemの構造を有している。SU(3)レベル2の パラフェルミオン共形場理論の2パラメーター可積分摂動とY-systemを記述するY-関数の高エネルギー極限における質量パラメータの間の厳密な関係式を見出した。 (3) N=2超対称ゲージ理論のオメガ背景場のNekrasov-Shatashivili極限における量子化されたスペクトル曲線に着目し、そのODE/IM対応との関係を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
untwisted affine Lie代数のLanglands双対に基く変形affine Toda方程式以外のaffine Toda方程式の場合までODE/IM対応が拡張される例を世界で初めて構成できたことは予想外であった。より一般化をすることによりODE/IM対応の全貌が見えてくると期待される。また超対称ゲージ理論の量子化されたスペクトル曲線にODE/IM対応が適用できることがわかったことは新しい発見であり、今後の新しい応用が広がったことを意味する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は一般のaffine Lie代数に基くODE/IM対応の一般論を構成すると共に、T-systemやY-system, 熱力学的Bethe仮設方程式の解析により、精密な可積分模型との対応の評価を行う。またN=2超対称ゲージ理論への応用特に強結合領域に現れるArgyres-Douglas理論の可積分構造について重点的に研究を行い、強結合領域で解析が困難な物理を可積分模型の手法により解析することを目指す。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた国際会議(IGST2016 Berlin)に都合により参加できなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
共同研究を推進するため積極的に国内外の研究会に参加、発表を行う。また数値計算用のPCを導入する。
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Research Products
(6 results)