2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K05053
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾田 欣也 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (60442943)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 漸近安全重力 / 汎関数繰り込み群 / 量子重力 / LHC / 大ハドロン衝突型加速器 / ヒッグス対生成 / ヒッグス粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子重力の構築は物理におけるもっとも重要で難しい問題の一つである。アインシュタイン重力は水星の歳差運動や重力レンズなどの巨視的な現象を精密に説明することができる。そのため、長距離の重力についてはアインシュタイン重力が正しい描像を与える。一方で、その量子化は繰り込み不可能性のために非常に困難である。ワインバーグによって提唱された漸近安全重力は量子重力の可能な候補の一つである。 山田(金沢大、ハイデルベルク大)とともに、漸近安全重力と非ミニマルに結合したヒッグス・湯川模型の固定点構造を、汎関数繰り込み群を用いて調べた。宇宙項、ニュートン定数、スカラー場の質量と自己結合定数の繰り込み群方程式を、スカラー・フェルミオン・重力子のループを取り入れて求めた。フェルミオンの量子揺らぎを取り入れることにより、非ミニマル結合定数が、漸近安全重力の下でのガウシアン物質固定点のまわりで無関係になることを発見した。 中村、西脇、Park、山本(当科研費にて雇用)とともに、ハドロン衝突型加速器におけるヒッグス対生成を新しい中性スカラーが増加させる一連の模型を調べた。スカラー場は色をもった新粒子の輪を通じた糊子融合により生成され、標準模型ヒッグスとの混合によりヒッグス対に崩壊する。そのような色をもった粒子は、ディラトン模型におけるトップ・ボトム相棒や、色の三重項・六重項・八重項・等(それぞれレプトクォーク・ダイクォーク・カラロン・等と呼ばれる)のスカラーでありうる。最新の大ハドロン衝突型加速器(LHC)から実験的な制限を調べ、LHCや100TeVまでの将来の円形加速器における見通しを議論した。ATLAS実験におけるbbγγ終状態の超過が300GeVの新中性スカラーで説明づけられることも指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数年間かけて取り組んでいた仕事を発表し、一区切りをつけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた結果をもとに漸近安全重力についての研究を推し進めてゆく。並行して他の素粒子現象論および宇宙論の研究も続ける。
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Causes of Carryover |
雇用していたポスドクが任期途中で無事に転出し、次のポスドクを雇用するまでの空白期間が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際研究会での発表、および計算機の購入。
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Research Products
(10 results)