2018 Fiscal Year Annual Research Report
Space-time structure in string field theories
Project/Area Number |
15K05056
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
高橋 智彦 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (10324956)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 素粒子論 / 弦理論 / 弦の場の理論 / タキオン真空 / 連続ビラソロ対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
単位弦場に基づくタキオン真空解と開弦系のサイン二乗変形についての研究を行った。サイン二乗変形に関する現在までの研究では、開弦の自由度を用いて閉弦を記述する可能性が示唆されてきた。本研究では、サイン二乗変形した開弦系で右向きと左向きモードのハミルトニアンが可換となり、その結果として閉弦系を記述するようになることを明らかにした。可換な二つのハミルトニアンが時間発展によってつくる世界面は、閉弦理論における正則・反正則な世界面となり、それぞれに作用する二つの連続ビラソロ演算子があることがわかった。 次に、単位弦場に基づくタキオン真空解から生じる変形されたBRST演算子でも、サイン二乗変形と同じ機構によって、右向きと左向きモードが反可換となって分離し、それぞれがベキ零性をみたすことを明らかにした。また、変形されたBRST演算子から右向きと左向きの連続ビラソロ演算子を導き、これらの演算子が変形されたBRST演算子と可換となることを示した。これは、タキオン真空での世界面にあるビラソロ対称性が、閉弦理論と同様、右向きと左向きに分離することを示している。 さらに、タキオン真空におけるエネルギー運動量テンソル、ゴースト場、反ゴースト場、ゴースト数カレント、BRSTカレントを構成し、これらが摂動論的真空と同じ演算子積展開をみたすことを示した。タキオン真空には閉弦しか存在しないにもかかわらず、タキオン真空上の共形場理論を開弦理論によって記述できることを示している。 右向きと左向きのビラソロ対称性は閉弦理論の対称性であり、時空の一般座標変換に対する対称性を含んでいるため、これらの結果を合わせると、タキオン真空における開弦の場の理論が時空の一般座標変換のもとで不変であることが結論される。研究課題にある弦の場の理論における時空構造が、弦の場の理論における対称性という形で確認できたことを意味する。
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Research Products
(5 results)