2017 Fiscal Year Research-status Report
離散的手法と数値計算に基づく超対称ゲージ理論の非摂動的探求
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15K05060
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松浦 壮 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 教授 (70392123)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超対称性 / 格子ゲージ理論 / 数値計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、改良された杉野模型について、理論的な成果を論文にまとめ、数値的な解析を進めた。 理論的な成果とは、連続極限へ近づき方の改良である。格子理論というのは、本来連続の時空を格子状に分割して離散化した理論である。従って、目的である連続理論の性質を調べたい時は、分割の細かさに相当する「格子間隔」をゼロに近づけながら数値計算を行う、という戦略が採られる。そのため、理論が出来る限り速やかに連続理論に近付く方が効率よく解析を行うことができる。 従来の杉野模型では、格子理論と連続理論の間には格子間隔に比例した差異がある。従って、連続理論に近づきはするが、その近づき方という意味では最低限の要求が満たされているのみで、効率の悪い分割になっている。そのため、目的の物理量を評価する時、十分に小さな格子間隔を取る必要があり、解析の効率を妨げてしまっている。 そこで我々は、格子間隔の2乗の速さで連続理論に近付くよう、オリジナルの杉野模型を改良した。その際、理論に残っている超対称性を壊さないように改良した点がポイントである。同様の改良は行列理論に関しても行われ、計算効率を劇的に改善した実績があり、同じく低次元理論である2次元杉野模型に対しても同様に機能する事が期待される。 数値的な解析に関しては、コードの改良を行い、数値解析を実行中である。連続理論に近づけるためには格子間隔をゼロに近づけなければならず、それに従って計算量も増加する。そのため、1個のCPUで計算するよう設計された従来の計算コードを複数のCPUで並列計算するように改良する必要があった。現在、そのコードを利用して、球面上の杉野模型の連続極限に向けた数値計算を実行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である2次元理論の数値計算は順調に実行中である。計算コードの並列化に思った以上の時間がかかったため、N=(8,8)への拡張に多少遅れが見られるが、概ね順調であると評価出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
最終的な目的である4次元ゲージ理論の数値計算に辿り着くためには、現在N=(2,2)理論で作られている理論をN=(8,8)に拡張する必要があるが、その際の技術的な課題は平成29年度の成果でほぼ解消された。今後は、杉野理論を拡張し、非可換球面を安定化させるためのパラメータ調整に入る。
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Causes of Carryover |
必要な計算環境として、慶應義塾大学・自然科学研究教育センターの計算サーバを利用できるようになり、該当年度の計画を実行するために、当初予定していた自前の計算環境を整備する必要がなくなったため。しかし、次年度にはさらに計算機が必要になるため、必要な予算である。
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