2016 Fiscal Year Research-status Report
QCDに基づくB中間子の稀崩壊の計算:摂動・非摂動QCDのインターフェイス
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15K05061
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
川村 浩之 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30415137)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 摂動論的QCD / B中間子 / Bファクトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
B中間子の稀崩壊のQCD因子化定理公式に現れるB中間子の光円錐波動関数と格子QCDによる数値計算が可能な静的相関関数を結びつけるマッチング係数の1ループ近似計算を行った。具体的には空間的な2点を結びつける非局所演算子に対する1ループ補正を重クォーク有効理論の枠組みで配位空間表示、背景場の方法を用いて計算した。昨年度に行った同様の計算で得られたマッチング係数は解析的な振る舞いの悪い表示となっていたことから、これらの計算を詳しく再検討することで解析的振舞いのよいマッチング係数の表現を得た。 これらに関連して光円錐上に伸びる非局所演算子の前方行列要素で定義される通常の核子パートン分布関数とそれに対応する静的相関関数の1ループ・マッチング係数についても計算をすすめた。そのために光円錐上にない一般の空間的な2点の間を結ぶ非局所演算子の行列要素を計算する際の系統的な展開の方法を詳しく調べた。先のB中間子の光円錐波動関数の場合との違いは前方行列要素であること、質量のないクォーク・反クォークによる非局所演算子であることの2点で、計算の過程には類似性が多くみられた。 また、高エネルギー加速器研究機構のBファクトリーにおけるBELLE実験から得られたパイ中間子とK中間子の生成断面積を用いて、これら生成過程の非摂動部分を記述する破砕関数に関する解析も行った。これら軽い中間子の破砕関数も核子のパートン分布関数と同様に質量のないクォーク・反クォークによる光円錐上に伸びる非局所演算子の行列要素で表わされ、BELLE実験の結果が行列要素のグローバル・フィットにどのようなインパクトを持つかについて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
B中間子の光円錐波動関数とそれに対応する静的波動関数のマッチング係数の表示は得られたものの、当初予定していた運動量表示の計算や格子正則化との関係の検討などの課題までは進められなかったために上記のように自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
B中間子の光円錐波動関数とそれに対応する静的波動関数のマッチング係数の運動量表示の計算や格子正則化との関係の検討を行う。また、核子のパートン分布関数における同様の1ループのマッチング係数についても計算を完成させ、他の処方で得られた既存の計算結果と我々の結果を比較する。これらについて研究論文にまとめて発表する。
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Causes of Carryover |
当該年度には学内業務に予定よりも時間をとられ、また国際学会等への参加を予定していた冬期に遠方への旅行が不可能となるような健康上の問題が起きたために旅費が使用できなかった。また、年度末に購入を予定していた数値計算用コンピュータの納期が大幅に遅れた事も理由の一つである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には研究成果の学会発表および今後の研究の進展のための専門家との議論を目的とした出張の旅費として使用する計画である。
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Research Products
(3 results)