2022 Fiscal Year Annual Research Report
A light Higgs and new development of gauge-Higgs unification theory
Project/Area Number |
15K05062
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
林 青司 東京女子大学, 現代教養学部, 研究員 (80201870)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 標準模型の階層性問題 / 標準模型を超える理論 / ゲージ・ヒッグス統一理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
素粒子の標準模型は非常な成功を収めた理論であるが、この理論には、ヒッグス粒子にまつわる基本的かつ重要な理論的問題点がいくつか存在するため、より基本的な理論である「標準模型を超える理論」の構築が喫緊の課題である。当該研究課題では、新理論の魅力的な候補として、高次元ゲージ理論の枠組みを用い、ヒッグス粒子をゲージボソンの余剰次元成分と見なすゲージ・ヒッグス統一理論(GHU)に注目し、この理論の新展開をはかると共に、この理論の特徴的な性質に関するいくつかの論点について議論し解決する事を主目的としている。 最終年度の研究成果としては、まず、QCDのθ真空によく似た構造を持つGHU の縮退した真空状態に関する研究成果を論文にまとめ、学術雑誌に掲載した。更に、宇宙における物質生成の機構において重要な役割を演じるsphaleron 解についても共同研究を行った。sphaleron は、これまで数値的にしか構成できていなかったが、これを5次元時空上のGHUの運動方程式の古典解を用いて解析的に構成する試みを行い、その成果を論文として発表した。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果としては、まず、ヒッグス場が一種のアハロノフ・ボーム位相と見なせ、ヒッグス・ポテンシャルが周期的になる、というGHU理論の著しい特徴に起因する、特徴的なヒッグス崩壊モード、特徴的な真空構造、またstrong CP problem の新しい解法、といったテーマに関する研究成果を発表した。また、GHU においてはヒッグス場の起源がゲージ場であることから、フェルミオンとの湯川結合が強く規制されるという大きな特徴を用いて、フェルミオンの質量階層性を磁気単極子に依り自然に説明するシナリオについても提唱した。 これに加え、研究期間の後半では、GHUの持つトポロジー的な性質に関わるテーマに関する研究成果も発表した。
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