2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K05063
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Research Institution | Kushiro National College of Technology |
Principal Investigator |
村上 公一 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (00400698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 正夫 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 数学研究所専任研究所員 (40198536)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 素粒子論 / 弦理論 / 超弦の場の理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,光円錐ゲージにおけるNSR形式の超弦の場の理論のコンタクト項の発散問題を次元正則化法により正則化し,超弦の場の理論の無矛盾な定式化を目指している.平成29年度は平成28年度研究で成果を収めた,筑波大学の石橋延幸氏が提唱したlinear dilaton背景中の弦理論を考え,世界面上の共形場理論が満たすVirasoro代数の中心電荷をずらすことで,次元正則化を行うという手法を,多重ループ振幅の計算に適用し,コンタクト項の発散がきちんと処理できているかを調べることを継続した.当該年度は特にループを飛ぶ世界面のフェルミオンが奇のスピン構造を持つ場合を考察した.この際,外線の状態のpictureを通常の計算で用いられるものと異なるものを採用することにより,コンタクト項の発散を処理することが可能であることを見出した.この際,我々の正則化は世界面上のBRST対称性を保っていることを示した.さらに,我々の処方で計算した振幅が,第一量子化で計算されるものと一致することも示すことができた.以上の結果は,共著論文にまとめ,学術誌Journal of High Energy Physicsに出版された. また,研究分担者が中心になって取り組んでいるleft-moverとright-moverを独立な自由度として扱う新しい形式の弦の場の理論については,Vnenziano振幅をすべてのチャンネルについて再現することに成功した.この成果は,共著論文にまとめられ,学術誌Journal of High Energy Physicsに出版された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度から引き続き超弦の場の理論の多重ループ振幅のコンタクト項の発散問題を次元正則化により正則化する問題に取り組んで,引き続きの課題であった,ループ振幅における奇のスピン構造の寄与の計算において,我々の処方の適用の仕方を解明することに成功したた.また,研究分担者が長年取り組んできた新しい弦の場の理論の定式化においても,今回Veneziano振幅を再現したことで,この定式化が弦理論を記述しているといことへの,強い証拠を与えた.以上のことから上記のように自己評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,さらに出張の機会を設けて,同じ分野の研究者のとの研究交流を広げて研究を進展させたいと考えている.また,共同研究者のもとへ出張し,対面の議論の機会を増やすことで,研究を推進したい.
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Causes of Carryover |
公務多忙のため,予定していた研究会への出張を取りやめたことと,計算機の購入を検討している時期に,購入を検討していた計算機にCPUの不具合があることが報じられたため,購入を先送りにすることにしたため.翌年度分については,前年度購入予定の計算機を購入することと,研究分担者の海外出張の費用に充てることを計画している.
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Research Products
(3 results)