2015 Fiscal Year Annual Research Report
次世代格子ゲージ理論数値シミュレーションコードの開発
Project/Area Number |
15K05065
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
野秋 淳一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特任助教 (90392068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
コス グイド 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究員 (60751211)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 格子ゲージ理論 / 数値シミュレーション / ハイパフォーマンスコンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
格子ゲージ理論の数値シミュレーションは、素粒子理論の摂動論的制約に留まらない本質的な理解を可能にする唯一のアプローチである。約30年の歴史をもつこの分野で、我が国の研究者コミュニティは大規模シミュレーションを通じて指導的な貢献を積み重ねてきた。しかし近年その立場を失いつつある。研究の対象がますます高度化している一方で、人材の流動や計算資源の変遷などの外的要因のために、研究の現場が疲弊していることに大きな原因がある。
本研究で私たちは、この現状を改善する手立てとして、開発・運用中のシミュレーションコードを全面的に改良し、コミュニティで共有することを企図した。 オブジェクト指向プログラミングによる体系的なコードは、これまでに培ったノウハウを後発の研究者に継承するのにうってつけであり、研究手法として新たに数値シミュレーションを検討している研究者にも恩恵をもたらす。
研究期間において、私たちは現場の運用を通じたユーザー(私たち自身を含む)からの要望を吸収する形でコードの改善に取り組んだ。また必要に応じて新たなユーザへのチュートリアルを行った。諸般の事情により、3年を予定していた研究のうち初年度のみの実施とならざるを得なかったが、素粒子理論の研究者コミュニティにおいて異色とも言える取り組みであり、研究環境を改善するために一定の貢献ができたのではないかと考えている。コード自体の運用は暫くの間継続されるため、今後も成果を生むことが期待される。
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