2016 Fiscal Year Research-status Report
酸素16生成の鍵-炭素12+α閾値近傍状態の構造研究-
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15K05072
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 宜之 新潟大学, 自然科学系, 名誉教授 (70018670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 渉 北海道大学, 理学研究院, 講師 (00612186)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 酸素16核の構造 / 空間局在した1粒子波動関数 / 炭素12+αクラスター模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
α粒子3個のトリプルα反応により炭素12原子核が生成されると、更にα粒子を捕獲して酸素16原子核が生成される。この反応機構はよく知られているがその反応率の詳細は実験的にも測定が困難なために知られていない。この反応率は星内の元素合成の進化を決めるうえで鍵を握るものとなっているので、理論的に妥当な計算が強く望まれている。 この反応は放射性捕獲反応と呼ばれるもので、α粒子と炭素12核が数百keVの低エネルギーのJπ=1-,2+の連続状態からクーロン障壁を透過して、電気双極子及び四重極子のガンマ線を放出して酸素16核の基底状態へ遷移するものである。この過程の理論的記述の困難さは関与する酸素16核の状態がクラスター模型や殻模型の成分を含むためそれらを見積もる統一的扱いが必要なこと、更に電気双極子放射にあっては状態の主要成分であるアイソスピンがゼロでは生じなくて僅かな成分を通じて起こるためその僅かな成分の妥当な評価が難しいことにある。 今年度の主要な成果は炭素12核の周りの核子の運動を記述する波動関数として殻模型的運動に適したものを拡張して、核表面付近に局在したものを簡潔に表現できるものを開発したことである。現在この波動関数を用いて0+,1-,2+の状態がどの程度よく記述できるのか検討している。それが首尾よく行けばアイソスピンの破れに主要な役割をするクーロン相互作用を考慮した計算に進むことができて反応率の評価ができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
炭素12核の周りを運動する4核子はパウリ排他率の制限を受けるが、その条件を満たしつつ殻模型とクラスター模型を統一的に扱うために便利な1粒子波動関数の発見に時間がかかったことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の目的にかなう簡明で柔軟な1粒子波動関数が得られたので、その適用性を0+,1-,2+の酸素16核の低励起状態に適用する。それが期待通りにいけばアイソスピンの破れを入れた計算により放射性捕獲反応率の評価に進めると考えている。
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[Journal Article] Towards a unified model of neutrino-nucleus reactions for neutrino oscillation experiments2017
Author(s)
S. X. Nakamura, H. Kamano, Y. Hayato, M. Hirai, W. Horiuchi, S. Kumano, T. Murata1, K. Saito, M. Sakuda, T. Sato, Y. Suzuki
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Journal Title
Reports on Progress in Physics
Volume: 80
Pages: 056301-1:38
Peer Reviewed
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[Presentation] 精密少数体波動関数にみる多核子相関2017
Author(s)
堀内渉,T. Neff, H. Feldmeier, 鈴木宜之
Organizer
基研研究会「核力に基づく核構造、核反応物理の展開」
Place of Presentation
京都大学基礎物理学研究所、京都府、京都市
Year and Date
2017-03-27 – 2017-03-29
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