2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K05075
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬戸 直樹 京都大学, 理学研究科, 助教 (80462191)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も引き続き階層的三体系に対する永年摂動論の効果を研究した。具体的な対象としては銀河中心ブラックホール周りの星団を想定し、第2の巨大ブラックホールが断熱的に落下してくる状況を考えた。対応するハミルトニアンは、(1)第2ブラックホールの潮汐ポテンシャル、(2)中心ブラックホールよる相対論的補正、(3)星団のポテンシャルの三項から構成されている。昨年数値的に発見した星の離心率等の特異な遷移、およびこの遷移が軌道要素の初期条件にきわめて敏感であることに対して解析を行った。まずはじめに断熱不変量を援用して、位相空間および個々の軌道要素の時間発展を追い、発見した特異な現象がseparatrix通過時の確率分岐によるものであることを突き止めた。次にリウビルの定理を援用してこの確率分岐比を評価した。
また、連星中性子星の重力波初検出イベントGW170817の報告を受けて、マルチメッセンジャー天文学の長期的な展開を議論した。具体的には、近年活発な研究がなされている局所的なハッブルパラメーターに対し、重力波を用いてどの程度の精度で計測することが可能であるかを検討した。そして、LIGOのO3,O4では宇宙論的に十分興味あるレベルの制限を課すことが可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
連星中性子星の重力波初検出イベントGW170817を受けて、計画全体を見直す必要が生じた。特に、対応する電磁波放射が従来の予想よりも大幅に明るかったことは、重力波天文学の展望を大きく変えるものである。本研究計画においてもこの初検出のもたらした情報を早急に取り込む必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
GW170817の観測によって新たにもたらされた天文学的知見を積極的に活用して研究計画を進めていく。
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Causes of Carryover |
連星中性子星からの重力波初検出によってもたらされた天文学的情報を研究に取り込んだため、計画の進行が遅れた。これに伴い、成果発表を当初の予定よりも遅らせたため。今年度開かれる国際会議で成果を積極的に報告していく。
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Research Products
(5 results)