2015 Fiscal Year Research-status Report
数値相対論-磁気輻射流体コードの開発とショートガンマ線バースト中心動力源への応用
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15K05077
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木内 建太 京都大学, 基礎物理学研究所, 研究員 (40514196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関口 雄一郎 東邦大学, 理学部, 講師 (50531779)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 重力波 / 数値相対論 / 天体物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカの地上型重力波干渉計advanced LIGOが2015年9月14日に人類初の重力波直接検出に成功したという報告がなされた。重力波天文学の開闢であるとともにブラックホール二つからなる連星の存在が初めて実証された。 今回の発見の対象となった連星ブラックホール以外にも少なくとも一つ中性子星を含む連星系の合体はadvanced LIGO, advanced Virgo(イタリア―フランス)、KAGRA(日本)の有望なターゲットである。また真空中で起こる連星ブラックホール合体とは異なり、これらの天体現象から放出される重力波が観測されれば、中性子星の真の状態方程式の推定、ショートガンマ線バーストの中心動力源の解明、宇宙の重元素の起原の解明が可能になると期待されている。 現状を鑑みると連星中性子星合体もしくは中性子星―ブラックホール連星合体の現実的描像を解き明かすことは喫緊の課題であり、本課題では数値相対論と呼ばれる数値シミュレーションを用いてこの問題に取り組んでいる。特にH27年度は中性子星合体とブラックホールー中性子星合体に関して磁気流体効果を精査した論文を主著者として2遍発表した。また、連星中性子星合体に関してニュートリノ輻射流体効果を調べた論文を研究分担者と共同で投稿中である。さらに国際会議にて2件招待講演、4件一般講演を行い研究成果発表を行った。また、国内学会にて一般講演も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連星中性子星合体およびブラックホール―中性子星合体における磁気流体効果とニュートリノ輻射流体効果の理解がH27年度の研究により進んだ。主著者として執筆した査読付き論文が研究分担者と併せて2遍出版済み、1遍投稿済みであり進捗状況は順調である。 得られた研究結果を元に本年度は両効果が組み合わさった場合について現在研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、質量が小さい場合の連星中性子星合体における磁気流体の効果を精査した論文(研究代表者が主著者)とブラックホール―中性子星連星合体におけるニュートリノ輻射流体の効果を調べた論文(研究分担者が主著者)を準備中であり、近日中に投稿予定である。 さらに磁気流体とニュートリノ輻射流体を結合させた数値コードの開発を現在行っている。コードの完成後、最適化を経て、テスト計算に入る予定である。コードの完成及び最適化は今年度中に推進する予定である。
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Causes of Carryover |
昨年9月より約半年間渡米し、海外研究機関に滞在する予定であったが、受け入れ先の教授が停職処分を受けたため、実質的に渡米が不可能になった。 旅費、滞在費として使用する予定であった研究費分が余ったのが次年度使用額が生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度9月より再び海外研究機関に半年程度滞在する予定である。その旅費、滞在費にあてる。また、今年度分に計上していた旅費は今年度前期に海外から共同研究者を招聘する費用に充てる予定である。
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Research Products
(14 results)