2016 Fiscal Year Research-status Report
平均場描像に基づいたクラスタ形成の普遍的法則から見た核分裂現象の微視的機構の解明
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15K05078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市川 隆敏 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (00370354)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 平均場 / RPA法 / Hatree-Fock法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、まず前年度に確立した質量非対称な二体系での乱雑位相近似法による励起エネルギーの計算方法を元に、様々な解析法の開発を行った。具体的な例として、16O+208Pb系における励起モードの研究を引き続き行なった。前年度は各々の原子核の第一3-励起状態の遷移強度B(E3)が、互いに原子核が近くにつれどう変化するかのみを調べたが、今年度は励起エネルギーがどう変化していくのか、また一粒子波動関数の変化が集団励起を構成する要素としてどのように対応しているのかを調べた。また集団励起的なモードを議論するために重要な指標である和則が、二体系での乱雑位相近似でも成り立っているのかを調査した。また非物理的なゼロモードを除去する方法をさらに発展させた。これらの成果を国際会議FUSION17において発表した。 それと並行して、本研究の最終目的である、フルセルフコンシステントな計算を用いて乱雑位相近似計算を行い、クラスター励起を議論するために、座標空間メッシュのHatree-Fock計算が行えるコードの開発をスタートさせた。また乱雑位相近似の計算に、最近発展してきた、有限振幅法を用いた計算が本研究に適応可能かどうか検討を始めた。 さらに16Oにおける12C+αクラスター状態の研究を行った。まずは反対称化分子動力学法を用いて、αクラスターの励起状態に関する研究を行い、平均場模型を用いてクラスター状態を記述するのに重要な知見を得た。また二中心殻模型で効率よく波動関数と固有エネルギーを計算する新しい方法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定よりやや遅れている。まず初年度より継続して、仮定した平均場を用いた質量非対称な二体系でのRPA法の確立に関する研究は順調に進展している。しかし当初計画で予定した16O+12C状態のクラスター励起モードに関する研究は、技術的課題もあり未だ達成していない。また当初計画で予定した、空間座標メッシュを用いたフルセルフコンシステントな計算コードの開発が遅れている。コード開発に必要な時間が十分取れない事が原因である。以上の進捗状況から、研究は予定よりやや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針として、まずは対称性を課さない空間座標メッシュを用いたフルセルフコンシステントな計算コードの開発を優先的に行う必要がある。次年度はその開発に集中する。そしてRPA法の計算時間を大幅に短縮する有限振幅法を用いたコードを作成する。完成したコードを用いて、16O+12Cや16O+16O状態のクラスター励起モードの研究を行う。また計画を達成できない時のために4αリニアチェーン状態の励起状態をRPA法によって計算して調べる研究も検討する。
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Causes of Carryover |
今年度は予定通りに国内研究会に参加する事が難しく、結果として次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は積極的に国内研究会に参加して発表を行う予定である。また発表用のノートパソコンを購入予定である。これらに使用する事により、予算を消化する事が可能である。
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Research Products
(1 results)