2015 Fiscal Year Research-status Report
X線バーストシミュレーションによる中性子星内部構造の解明
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15K05083
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋本 正章 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20228422)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中性子星 / ニュートリノ放射率 / 状態方程式 / X-線バースト / 中性子星の冷却 / 中性子星の静穏期の光度 |
Outline of Annual Research Achievements |
中性子星の内部構造を調べるために、静穏期における連星中性子星への伴星からの降着率と中性子星の光度との関係を調べた。従来では、コアの温度と表面温度の間に簡単な関係式を用いて、中性子星の冷却過程を仮定して、観測と比較することにより、冷却率の推定がなされていた。我々は、Muto et al.(1993)のパイオン凝縮に伴う強いニュートリノ放出率を採用し、かつ中性子星の球対称な進化コードを用いて、実際に現実的計算を行い、降着率と光度との関係を求め、観測と比較した。その結果、従来のような簡単なコアー表面温度の関係をもちいては観測と矛盾する結果を出すことを明らかにすることができた。また、従来の方法では正当なニュートリノ放射率を観測との比較で評価できない子も示した。また、星の不透明度をアップデートしても定性的には以前の不透明度を用いた結果と変わらないことを明らかにした。我々の結果は状態方程式にはそれほどよらないと考えられるので、中性子星の内部構造と冷却過程に重要な制約を与えることができたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画はまず中性子星の進化コードを整備しなおし、内部構造を支配する物理的プロセスを制約することであった。現在投稿中の論文では、従来型の中性子星の冷却計算が間違っている場合が多々生じることを示している。この指摘は世界的にみて初めてのことと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、単独(孤立)中性子星の冷却曲線を構築する予定である。我々の進化計算では高めの中性子星の表面温度を再現しにくい結果になっている。これらの観測データをよく再現するためには強い冷却率では無理で、超流動の効果を導入して観測との比較により、冷却率を制限できると期待できる。
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Causes of Carryover |
謝金と旅費に不足をきたしたので、次年度に持ち越す必要がでたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
謝金と旅費に用いる
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