2016 Fiscal Year Research-status Report
X線バーストシミュレーションによる中性子星内部構造の解明
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15K05083
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋本 正章 九州大学, 理学研究院, 教授 (20228422)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中性子星 / X線バースト / 元素合成 / 核物質の状態方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
中性子星表層で起こるX線バーストのシミュレーションの準備を行った。具体的には、バーストの計算を進化コードを用いておこなうために元素合成の近似ネットワークの作成を行った。従来使用してきた近似ネットワークは68Seまでしか入っていなかったため元素合成の十分信頼性のある計算ができないことが判明し、新たに拡張したネットワークの作成の必要性が生じた。そこで、各合成のパスを慎重に考慮し、生成パスを近似化していった。その際、特に水素とヘリウムのの残存量をパーセントのレベルで再現できるような モデルのパラメータ領域を考慮した。近似ネットワークと大きいサイズのネットワークによるエネルギー生成率の近似的再現を成功した。これらの物理量を出すために、今回は単層モデルを用いた。我々のモデルは圧力一定のもとで進化計算を模擬的に行う方法で以前から確立したもでのある。現実的な進化計算をパラメータとして含むように広範囲にわたる圧力と初期組成を調べた。特に、エネルギー生成率の時間変化、元素生成の時間変化を詳細にチェックし、大きなネットワークの結果を近似的に再現することに成功した。ただし、初期組成が太陽系組成比における水素とヘリウムの比から大きくずれないことが前提となる。したがって、初期組成においてヘリウムが極端に水素より多くなければ近似ネットワークは十分正確に働くことが分かった。ヘリウムが主となる降着は特殊な場合であり、別のネットワークで取り扱う必要があるが、かなり単純化した近似ネットワークで済み、短期間で生成できることがわかる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
X線バーストのシミュレーションをできる限り現実的に遂行するための近似ネットワークを開発した。すべての可能な元素合成を追うには大きなネットワークが必要だが、進化計算と同時におこなうことは現在のコンピュータでも困難な面がある。近似ネットワークでは元素合成にともなう核エネルギー生成率、元素合成のパスと残留生成物の再現を目指した。その結果、主要な元素生成の再現が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、構築した近似ネットワークを中性子星の進化コードに組み込んで、本格的なX線バーストのシミュレーション開始する。その際、大きなネットワークとの整合性のチェックを行う。
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Causes of Carryover |
必要なコンピュータを購入したため、論文投稿準備中であったが、論文投稿料に不足が生じた。次年度に成果を論文として発表するための論文投稿料を確保する必要がでたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文投稿料に用いる。
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