2016 Fiscal Year Research-status Report
深部花崗岩中のミューオン生成核種による300万年前の超新星残骸通過時の宇宙線探索
Project/Area Number |
15K05097
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
櫻井 敬久 山形大学, 理学部, 客員教授 (60150265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 一穂 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (00344614)
中島 和夫 山形大学, 理学部, 教授 (70159060)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 宇宙線 / 高エネルギーミューオン / 宇宙線生成核種 / 永年変化 / 花崗岩 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、100 GeVを超える高エネルギー宇宙線ミューオンが地下深部の岩石中に生成する宇宙線生成核種Al-26,Be-10を加速器質量分析法(AMS)により測定して、300万年前の高エネルギー宇宙線強度変動イベントについて探索することを目的としている。本年度は以下の研究を実施した。 1)深部の土岐花崗岩中の生成核種を分析する上で、宇宙線中性子の影響を受けている地表面に近い同一ボーリングコアサンプルが必要となるため、JAEA東濃地科学センターより5mから500mまでのコアサンプルの提供を得た。2)大量の花崗岩試料から石英を抽出するため、磁性分離および重液分離を導入して効率化の開発を行った。簡易的重液分離により試料中石英量濃度を約2倍に濃縮処理できた。これらの工程による源岩からの石英抽出率は約11%であり、深度5mと20mの試料についてAMS測定用試料を作成した。3)高エネルギーミューオンが花崗岩中で生成する核種について、ミューオンおよびその2次粒子による生成の過程をJAEA原科研のphitsシミュレータを用いてシミュレーション計算を行った。この計算によりミューオンによる花崗岩中の核種生成に関与する粒子種および生成核種の花崗岩中の位置分布特性が分かった。4)宇宙線ミューオンのエネルギースペクトルを用いて地表から地下1000mまでの花崗岩中の生成核種を計算し、各深度での生成量を推定した。380m(1000hg)の深度で花崗岩中石英1gに生成されるBe-10は100(atoms)個程度と推定される。5)分担者(中島)は、日本(羽越、秋吉台)とインドの花崗岩の鉱物特性とそれに付随する金属鉱床の特性を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高エネルギーミューオンの花崗岩中の核種生成についてのシミュレーション計算ができ、ミューオンおよび2次的粒子による核種生成の特性が分かった。また、宇宙線ミューオンのエネルギースペクトルから地下深部花崗岩中の生成核種量の推定計算を行い、計算は研究計画に沿って進んでしる。鉱物分離の工程を効率化する石英抽出のための磁性分離および重液分離法が計画に沿って開発を行い、AMS測定用試料の作成まで進んだ。これらの試料作成工程の開発ができたが、作成済試料のAMS測定がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
分析する花崗岩の効率的AMS測定用試料作成の工程ができたので、作成済の試料のAMS測定および深部花崗岩のAMS測定用試料の作成とその測定を行い、測定結果をまとめる。
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Causes of Carryover |
高エネルギーミューオンにより地下深部花崗岩中に生成される生成核種は、微量なため数kgの花崗岩試料から石英を抽出する必要がある。磁性分離と重液分離を導入開発することにより最終的なAMS測定試料の作成が効率化できることが分かった。地下の浅い深度での測定試料は作成できたが、AMS測定は未だである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
地下の浅い深度での作成済測定試料のAMS測定、および地下深部での花崗岩試料よりAMS測定試料を作成しAMS測定分析を行う費用に使用する。また、これらの測定結果をまとめ学会等で発表する費用に使用する。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] The Cretaceous Ofuku pluton and its relation to mineralization in the western Akiyoshi Plateau, yamaguchi >> Prefecture, Japan.2016
Author(s)
Sasaki, Y., Imaoka, T., Nagashima, M., Nakashima, K., Sonehara, T., >> Yagi, K. and Itaya, T.
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Journal Title
Resource Geology
Volume: 66
Pages: 85-113
Peer Reviewed
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