2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K05106
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
寺西 高 九州大学, 理学研究院, 准教授 (10323495)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 不安定核 / 非束縛核 / 共鳴散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、不安定核陽子共鳴弾性散乱の熱い標的法に偏極陽子標的を取り入れた新しい「逆運動学偏極陽子共鳴弾性散乱法」を開発し、不安定核構造研究のための非束縛核分光法の高度化を目指している。 今年度は、昨年度理化学研究所にて行った9C+p共鳴散乱の非偏極陽子標的を用いたテスト測定の解析を進め、共鳴散乱の励起関数の予備的結果を得ることができた。得られた励起関数には10N共鳴によると思われる構造が見えていることが分かった。今後、R行列を用いた計算によるフィッティングを行い、共鳴パラメーターの決定を行う予定である。 平行して、九州大学のタンデム加速器を用いて、共鳴散乱実験に関係する、以下に示す3つのサポート実験を行った。1) 昨年度の9C+p共鳴散乱テスト実験で実際に使用したポリエチレンおよび炭素標的に、エネルギーの定まった陽子線を照射し、エネルギー損失の実測データを取得した。これにより、共鳴散乱の解析に役立てた。2) 共鳴散乱実験用dE-E型シリコン半導体検出器テレスコープにエネルギーの定まった陽子、重陽子線を照射し、エネルギー分解能、粒子識別能力を評価し、将来の本実験で要求される性能を十分満たすことが確認できた。3) シリコン半導体検出器より安価な反跳陽子検出器の候補として CsI(Tl) シンチレーターのテストを行い、シンチレーション光検出器 MPPC の信号波形分析により、陽子の粒子識別が少なくとも 5 MeV 以上で可能なことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
タンデム加速器を用いた実験では、反跳陽子検出器の開発・テストを行うことができたが、マシンのトラブルもあり実施に時間がかかった。そのため、他に予定している安定核のビームを用いた逆運動学共鳴散乱のテスト実験、反跳陽子偏極度計に関するテスト実験、偏極陽子標的用結晶のビームによる評価等がまだ実現していない。
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Strategy for Future Research Activity |
9C+p共鳴散乱テスト実験の解析結果のまとめを行いつつ、タンデム加速器のビーム(4He, 6Li, 7Li, 12C 等)を用いて、逆運動学の陽子共鳴散乱のテストを行う。昨年度実施した CsI(Tl)シンチレーターのテスト実験で明かになった信号波形分析による粒子識別能力について、追加データを取得すると将来の本実験用検出器の開発に有用であるので、この追加実験にもやや重点を置くことも検討中である。未実施の反跳陽子偏極度計に関するテスト実験や偏極陽子標的用結晶のビームによる評価は、まず具体的な実験計画を立てる。その上で、全体の優先順位を考えながら、可能な部分について実現をめざす。
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Causes of Carryover |
タンデム加速器を使用した実験の進捗が遅れており、実験用物品等の購入を保留したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
タンデム加速器を使用した実験のための物品購入および研究打ち合わせや成果発表のための旅費に充当する。
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Research Products
(4 results)