2015 Fiscal Year Research-status Report
GARIS-II用アクチノイド標的照射システムとその高度利用技術の開発
Project/Area Number |
15K05116
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
加治 大哉 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 仁科センター研究員 (00391912)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超重元素 / 標的 / 薄膜 / アクチノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
応募者が中心となり開発した(アクチノイドを標的とした重イオン核融合反応に特化した)新しい気体充填型反跳分離装置GARIS-IIを用いて、原子番号119番以上の新元素探索が計画されている。 本研究では、新元素探索へ向けたGARIS-IIの高度利用技術の開発に取り組む。具体的には、①ガス冷却型アクチノイド標的照射システムの構築、②Double layered rotating wheelと標的個別ID化技術を組合せた効率的な励起関数測定法の確立③大強度重イオンビーム照射に対する標的の健全性モニターシステムの開発を行う。これにより、新元素探索、超重核の核構造研究、超重元素化学研究、超重核の精密分光への道を広げる。 超重元素合成反応は極低反応断面積に起因して、大強度重イオンビーム照射に耐えうる標的が必要である。アクチノイド標的に特化したガス冷却型アクチノイド標的照射システムを設計・製作した。円盤上に二枚のセクター型標的を挟み込めるサンドイッチ構造とし、標的の一つにタグをつけること個別モニタリングが可能となった。焦点面検出器で観測される事象と標的ID情報を関連づけることで、観測事象がどの標的に由来するかを判別することができ、多様な標的使用法も可能となった。 アクチノイド標的用スパッタ装置を設計・製作し、電着では準備が困難な厚いウラン標的準備を行えるようにした。 標的の健全性を評価するために、放射温度計による標的の温度状態監視システムを構築した。種々の標的材、バッキング材に対する照射の温度上昇・降下の応答を調べ、材質の最適化や回転条件などの知見を得た。ビームとGARISの充填ガスとの相互作用によって生じるガスシンチレーションを用いた非接触型ビーム強度モニターを用いた標的物質の減衰モニターを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき、①ガス冷却型アクチノイド標的照射システムの構築、②Double layered rotating wheelと標的個別ID化技術を組合せた効率的な励起関数測定法の確立をおこなった。これらの開発結果の一部を学術論文としてとりまとめた。 D. Kaji et al., Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A 792, p.11 (2015). 28年度以降に行う予定であった③標的の健全性モニターシステムの開発にも着手した。放射温度計の校正など、基礎動作試験が順調に進んだため、加速器を用いたオンライン実験によるデータの取得も行い始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度に取得した加速器オンライン実験のデータ解析を進め、学術論文としてまとめを行う。これらに基づき、学会での口頭発表も行う。 28年度以降、標的準備技術向上を目的として、電着・スパッタによる準備法の開発、ならびに大強度重イオンビーム照射に対する標的の健全性モニターシステムの開発を引きつづき行っていく。
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Research Products
(3 results)