2015 Fiscal Year Research-status Report
太さ数nm以下の金属ナノワイヤ列を含む繊維状複合薄膜の非線形光学物性
Project/Area Number |
15K05126
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
水谷 五郎 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 教授 (30183958)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHUAT Hien 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 助教 (30729190)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ナノワイヤ / 貼り合わせ装置 / 光第二高調波発生 / SHG / 位相シフト |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(平成27年度)は計画した通り、「ナノワイヤ列の貼り合わせ装置」の設計を行った。このナノワイヤ貼り合わせ装置の概要は次のとおりである。水に容易に溶けるNaCl単結晶(110)面の上に斜め蒸着により成長させたナノワイヤ列をまず両面テープに貼り付けて、全体を水につけてNaClを溶かして取り除く。ナノワイヤは両面テープの上に残る。次に、このナノワイヤの乗った両面テープにカットを入れ一部をはがす。そして、そのはがした部分に新たな両面テープをはる。これにより、試料ホルダーは両面テープの高さに一定になるが、その一部にナノワイヤが貼り付いている構造となる。次に、新たなNaCl上にのったナノワイヤ列を、その上から貼りつけ、再びNaCl基板を水に溶かす。これにより、最終的には試料の一部はナノワイヤ列が二重に、残りの部分ではナノワイヤが一重に両面テープの上に貼りつくことになる。このプロセスの中で、「そのはがした部分に新たな両面テープをはる」という部分が、もとの提案では考えられておらず、このことを修正した「ナノワイヤ列の貼り合わせ装置」の設計を行い、完成した。この報告書を書いている最中には、装置を学内の工作室より製作が完了したという、情報が入った。 一方SHGの測定システムも改良を重ねた。試料より発生するSHG光の波形には入射光に対する位相シフトが考えられる。この位相シフトは界面における構造の形や物質の電子状態を反映しているので重要な情報である。本研究ではこの位相シフトを測定する新しい測定システムとして、水晶SiO2(0001)面をSHG測定の光路に入れて標的試料からのSHGと干渉させ、さらにSiO2を法線まわりに回転させる配置を開発した。現在その性能をテストしている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要で述べたように、設計の問題点もクリアし、部品も加工が終わった。次は組み立てである。組み立ての段階でいろいろな不具合が生じるであろうが、各部品の構造は単純にしてあるので、設計変更は容易である。SHGの位相シフトの測定装置は、まだ求まる位相の精度に問題があるが、2年目以降に集中してこの問題を解決できると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画に記述した要領で研究を推進する。まずはナノワイヤ貼り合わせ装置の動作確認はまずテスト試料を用いて行う。テスト試料はNaCl基板上に蒸着した単純な金属膜を考えている。二枚の金属膜が正しく貼り合わせたかどうかは、2つの膜として色の違うものを採用する。さしあたっては金とパラジウムを考えている。動作確認が終わったらナノワイヤの貼り合わせを行う。現有の真空装置は蒸着装置部分に故障部分があるので、その修理を行い、ナノワイヤの実験段階に間に合わせる。
|
Causes of Carryover |
少額の消耗品を買う程度の未使用予算が残った。次年度の計画を実施するためには消耗品の購入が多く必要となると見込まれるので、少しでもその足しにするために、未使用分は次年度に使用することにした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
ナノワイヤ列貼付け装置の組み立てに用いるネジや構造材などの購入に用いる。
|