2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K05160
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 雄介 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20261547)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超伝導 / 量子渦 / フラックスフロー / マグナス力 / ローレンツ力 / マヨラナ粒子 / カロリドジャンマトリコン状態 / アンドレーエフ束縛状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.時間に依存するギンツブツグ・ランダウ方程式を用いて、超伝導体における運動量保存則を導出し、それに基づいて量子渦に掛かる力のつりあい方程式を導出した。それを元に単一量子渦にかかる駆動力を解析し、流体的な力と磁気的な力の合力が、これまで「ローレンツ力」と呼ばれてきた量子渦駆動力であることを明らかにした。電気的に中性な超流動体では、循環(速度場の周回積分)が量子化し、多重連結な超伝導体に囲まれる磁束は量子化する。ただしフラックス・フロー状態の超伝導体では、循環や磁束は単独では量子化しない。量子化するのはフラクソイドであり、それは循環と磁束を合わせたものである。フラクソイドの量子化に対応して、フロー状態の超伝導量子渦にかかる力は純粋に流体力学的なものではなく、また純電磁気的なものでもない。それらの合力のみが、渦に掛かる力として意味を持つ、というのが当該年度の成果に対するわれわれの物理的な解釈である。 2. さらに渦糸格子状態における力のバランス方程式を考察し、渦糸格子状態の渦にかかる力は、孤立渦にかかるそれとは物理的性質が異なることを見出した。 3. クリーンな超伝導体の動力学を記述する一般化された準古典方程式の数値アルゴリズムを探求し、自己エネルギーのない量子渦の実時間ダイナミクスの数値解を得た。 4.超伝導体における量子渦束縛状態(カロリ・ドジャン・マトリコン状態)に対する不純物の影響を調べる理論的枠組みとして知られていたKopnin-Kravtsov法を、コヒーレンス効果を正しく取り扱うように改良し、S波、カイラルP波、トポロジカルS波超伝導体に適用した。 5. ノードのあるトポロジカルな超伝導体における量子渦束縛状態(カロリドジャンマトリコン状態)の解析解を得て、それを元に改良されたKopnin-Kravtsov法を用いてマヨラナ粒子に対する不純物の影響を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「量子渦の駆動力はマグナス力か、電磁的な力か」。この問題は超伝導量子渦の分野では長年の論争のテーマになっていた。この問題についてdirty superconductorに限定的ではあるが、説得的な結論と物理的描像を引き出せたので初年度を終えた現段階では本計画は計画以上に進展しているとわれわれは考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
一般化された時間に依存したギンツブツグ・ランダウ方程式を用いた量子渦に掛かる力 の数値的研究、渦糸格子状態における量子渦にかかる力の研究、準古典方程式を用いたフラックスフロー解の数値計算とそれに基づく量子渦に掛かる力の数値計算、d波、カイラルP波の量子渦に掛かる力の探求が今後の方針である。
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Causes of Carryover |
前年度における物品費が見込みより少なく、かつ次年度に計算機を購入した方がより効率的に研究費を活用できると判断したため、基金の制度を用いて繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越分は次年度の物品費へ加えることで、機器購入の際に活用する。
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[Presentation] 超伝導渦にかかる力II2015
Author(s)
加藤雄介,Chung Chun-Kit
Organizer
第23回渦糸国内会議
Place of Presentation
休暇村志賀島(福岡県、志賀島)
Year and Date
2015-12-08 – 2015-12-08
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