2017 Fiscal Year Annual Research Report
Theory of force on quantum vortices in superconductors
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15K05160
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 雄介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20261547)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 量子渦 / フラックスフロー / 時間に依存するギンツブルグランダウ方程式 / 拡張準古典理論 / 帯電効果 / カイラルP波超伝導体 / 部分波展開 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)2次元S波超伝導体、カイラルP波超伝導体の孤立量子渦の平衡状態の性質を拡張準古典理論方程式(Kopnin-Houghton-Vekhter-Kita方程式)を用いて数値的に調べ、特に量子渦回りの帯電効果の不純物濃度依存性や、カイラルP波については(バルクとは反対のカイラリティー=クーパー対の相対座標の角運動量を有する)マイナー成分の効果を詳細に調べた。その結果不純物がない場合、全角運動量がゼロのカイラルP波量子渦では帯電効果がほぼゼロであるのに対して、全角運動量が2のカイラルP波量子渦では帯電効果がS波量子渦に比べても1桁程度大きいことを見出した。このことは先行研究で得られていない知見である。また拡張準古典方程式で帯電効果を取り扱うことは、不純物がある場合の非平衡輸送現象であるフラックスフロー、ホール効果の理論的取り扱いの基礎になるという点でも重要である。 (2)時間依存するギンツブルグランダウ(TDGL)方程式において、フラックスフロー状態の解析を部分波展開の方法を用いて定式化した。 通常の散乱問題のそれとは異なり、量子渦から十分離れた漸近領域での形は平面波でなく、磁場侵入長程度のスケールで空間変化するマイスナーカレントである。角運動量が1の部分波の方程式は2元2階線形非同次常微分方程式で与えられ、境界値問題の解の存在条件から量子渦の速度とマイスナー電流(駆動電流)の線形関係式が得られる。TDGL方程式に対するフラックスフロー状態の定式化はこれまでにGorkov-Kopnin, Dorseyらによって与えられてきたが、これらは漸近領域での超伝導電流として空間一様流を仮定したものであり、その適用範囲はギンツブルグパラメターκ(侵入長とコヒーレンス長の比)が1より著しく大きいときにのみ適用できるものである。それに対してわれわれの定式化はκが1程度の場合でも適用可能である。
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Research Products
(8 results)