2015 Fiscal Year Research-status Report
回転冷凍機を用いた超流動3He-A相中の量子渦格子の観測
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15K05169
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松原 明 京都大学, 低温物質科学研究センター, 准教授 (00229519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 丈夫 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00206723)
上野 智弘 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10379034)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超流動3He / 量子渦 / NMR / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,回転させた異方的超流動3He -A 相に生じる量子渦の観測を目的としている。特に,量子渦が作る格子(渦格子)の観測を行い,量子渦の構造や散逸メカニズム等についての知見を得たいと考えている。 上記のため,平成27年度に超流動3Heを得るための冷凍機システムの構築と測定器系の構築と感度の向上,試料セルの設計,作成とそのテストを行い,最終的な試料セルの製作を計画していた。 今年度は冷凍機システムの構築を行い,回転システムの制御系を完成させ,回転冷凍機システムとして完成させた。また,測定系として,回転システム下での測定を行えるよう信号検出システムを構築した。回転系では冷凍機とともに測定系も回転させるため,回転下での装置の保護や,冷凍機システムへの信号線の導入,回転系からのノイズの除去等を行った。また,測定の検出感度の向上のために,低温で動作するプリアンプを導入した。プリアンプは測定時の熱の発生と冷却能力を考慮して,希釈冷凍機の1Kと呼ばれるプレート上に設置した。 しかしながら,構築した冷凍機システムの冷却性能評価を行う際に,試料ラインに液体窒素温度での微量な漏れを発見した。その漏れの発見と装置の修繕に時間がかかってしまっている。それに付随して,低温プリアンプ等の感度のテストも行えていない。 上記の状況を打破するため,早急に試料管の漏れ箇所の特定と修理を完了して,製作した試料セルのテスト及び最終的な試料セルの設計を行いたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在,冷凍機システムは完成し,そのテスト段階にあるが,試料管に漏れがあり,作業が遅れている。今回の漏れは液体窒素温度という極低温で発生したため,発生箇所の特定に非常に時間がかかってしまっている。 測定系も測定装置の回転系への対応をすすめ,また,低温での感度向上を目指してシステムを構築した。しかしながら液体窒素温度での漏れのため,冷凍機システムの性能テストと共に測定系の感度テストを行えていない状況である。 今後,できるだけ早急に発生箇所を特定,修理して次のプロセスに進みたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では冷凍機システムの不備のため,未だ液体ヘリウム温度(4.2K)での作業が行えず,超流動3Heの状態に達していない。そのため,測定システムや試料セルの性能の評価ができていない。できるだけ速やかに低温での漏れを克服して冷凍可能な状態にもっていき,冷凍機システムの性能評価および,測定系の感度向上のテストや,試料セルのテストを行いたい。試料セルのテストでは,試料セルの構造や発生する熱の状況,得られる測定データの質などの評価を行い,最終的な超流動3He-A相の渦の観測につなげたいと考えている。
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Causes of Carryover |
今年度当初計画では超低温度におけるテストを行う予定だったが,液体窒素温度における試料管の漏れにより計画が遅れている。そのため,液体ヘリウム代として使用しようとした経費が多く残ってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の未使用分の主なものは液体ヘリウム温度での実験のための液体ヘリウム代であり,今年度に実施できなかった液体ヘリウム温度での実験を来年度行うために液体ヘリウム代としてしようしたいと考えている。
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