2016 Fiscal Year Research-status Report
さまざまな振動数依存性を考慮した超伝導集団励起運動の包括的な理論研究
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15K05183
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
平島 大 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (20208820)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超伝導 / ヒッグスモード / 集団励起 / 奇振動数対 / 強結合 / 準1次元系 / 位相スリップ |
Outline of Annual Research Achievements |
15年度に引き続き、奇振動数対超伝導に関する研究を行った。バルクにおける奇振動数対の安定性については未確定の部分がある。16年度は、通常の偶振動数対超伝導状態との共存に関する研究を続けた。これまで知られていない形の共存解が形式的には存在することは昨年度見出したが、今年度は現実的なモデルを用いて、実際に共存解が存在するか否か検討した。しかし、共存解が実現するモデルは未だ見いだせていない。バルクにおける安定な奇振動数対の存在を議論した論文の検討も行い、問題点を見出すことはできたが、理論の正否について、当該の著者とも 議論を重ねたが、十分な理解に至らなかった。 また、ヒッグスモード(振幅モード)と外場との結合に関して、通常調べられることの少ない粒子-孔非対称性や強結合効果も含めて検討した。しかしながら、現状では、無衝突領域にとどまる限り、振幅モードが外場と結合するという結果は得られていない。流体力学的な領域あるいは無衝突領域と流体力学的領域との遷移領域における研究が必要である。 準1次元系における超流動応答に関して、位相スリップの効果が抑制される高振動数領域における超流動密度の研究を進展させることができた。格子上のハードコアボース系を用いて、位相スリップを抑制するようにモデルを修正し、大規模数値計算によって超流動密度を計算し、位相スリップが抑制されれば準1次元系においてもバルク転移温度程度の高温まで超流動密度が有限にとどまることを確認した。現在、投稿論文の執筆を進めている。 カーボンナノチューブ中のヘリウム3系の基底状態に関する研究も進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画通りに研究を進めてきたが、今までのところ肯定的な結果が得られておらず、論文出版に至っていない研究課題が多い。
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Strategy for Future Research Activity |
振幅モードに関しては、流体力学的領域における運動に関して研究を行う。以前に行った研究では、振幅モードに関して全く議論しなかったので、今回は振動モードに焦点を当てた研究を行う。これによって、非平衡領域において振動モードが観測される理由の理解が進む可能性がある。また、無衝突領域から流体力学領域にかけてのクロスオーバーを含む研究に関しては、新たな共同研究に着手することを予定している。 準1次元系における超流動に関しては、格子モデルを用いた位相スリップが効かない高振動数領域における超流動密度に関する研究を完結させるとともに、連続系における大規模数値計算を実行するための国際共同研究を計画している。 また、準1次元、2次元ヘリウム3系に関する国際共同研究も推進する。 奇振動数対超伝導に関しては、引き続き、バルク系における安定性について、最終的な結論を得ることを目指す。
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Causes of Carryover |
海外出張を予定していたが、都合がつかず出張できなかった。また、論文出版に至らなかったため、予算の執行が進まなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
共同研究推進のための海外出張を行うとともに、論文出版を推進する。
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