2016 Fiscal Year Research-status Report
ガラス・ジャミング系におけるレプリカ対称性の破れと物性
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15K05212
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉野 元 大阪大学, サイバーメディアセンター, 准教授 (50335337)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ガラス転移 / ジャミング転移 / フラストレート系 / 制約充足問題 / レプリカ法 / 液体密度汎関数理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
回転自由度のガラス・ジャミング転移を統一的に捉える平均場理論の構築、解析を進めた(吉野、投稿中)。この理論は無限大次元極限で厳密になる。我々の模型は、(1)ヤヌス粒子の回転自由度のガラス転移、(2)ランダムネスをもたないフラストレート磁性体における自発的なガラス転移、さらに(3)circular coloringなど連続自由度の制約充足問題などの平均場模型とみなすことができる。本年度は連続的なレプリカ対称性の破れが起こっている領域での解析を詳細に行った。特にハードコア斥力ポテンシャルの場合について、ジャミング転移のユニバーサリティは、剛体球系と同じになることが明らかになった。これはジャミング(SAT/UNSAT)転移のユニバーサリティが著しく広いことを示唆する。さらに最近、回転自由度ととともに、並進自由度が共存する粒子系(例えば、ヤヌス粒子や楕円体コロイドなど)に関する無限大次元での厳密なレプリカ液体論を構成することができた。現在、ヤヌス粒子の場合についてその解析を進めている。
一方、有限次元での斥力ポテンシャル系の解析も進めている。特に、正方格子上のXY模型、立方格子上のHeisenberg模型の場合についてモンテカルロシミュレーションによる有限温度での解析を行なった。その結果、(1) 熱平衡状態では、スピン液体状態から反強磁性秩序状態への2次相転移が起こること、(2) 相転移点を超えた急圧縮を行うと、核形成による結晶化が起こること、 (3) ある限界を超えた急圧縮を行うと結晶化が阻害され、ガラス状態になることを見出した。特に、この(2)、(3)では渦(XY)、モノポール(Heisenberg)といったトポロジカル欠陥が重要な役割を果たしていることを見出した。(光元-吉野, 投稿準備中)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
回転自由度のガラス・ジャミング転移について、昨年度の解析では明らかになっていなかった、ジャミング転移のユニバーサリティを明らかにするなど重要な進展があった。また回転自由度と、並進自由度とが共存する系についての理論的枠組みを拡張する作業も予定通り行うことができた。これらの成果を踏まえ、投稿論文を作成することができた。さらに、有限次元系においてポロジカル欠陥が回転自由度のガラス転移に重要な役割を果たしていることを見出すなど、当初予期していなかった成果も得られた。他方、当初予定していた1/N展開、準安定ガラス状態追跡法の開発は、時間の都合で行わなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は次のように研究を推進する。 (1)ヤヌス粒子系における回転自由度、並進自由度のガラス・ジャミング転移の解析を行う。このためにまず、 今年度構築した、無限大次元極限での回転自由度、並進自由度の複合系の厳密な平均場理論に基づく解析を行う。これに並行して、2次元系での数値シミュレーションに基づく解析を行う。 (2) 準安定状態のガラス状態追跡法の開発、解析を行う。このために既存の無限大次元系での理論の枠組みを参考に、現実的な有限次元系で用いることのできる理論手法を開発する。具体的にこれを用いて引力コロイド粒子系、ヤヌス粒子系についての解析を行う。
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Causes of Carryover |
計算サーバーの追加購入が必要なくなり、1ノード分の購入を見合わせたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度は、国内および海外での研究発表が大幅に増えると見込まれるため、その旅費として使用する。
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Research Products
(18 results)
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[Presentation] Glass phases of a repulsive spin model2017
Author(s)
Kota Mitsumoto and Hajime Yoshino
Organizer
International workshop on Glasses and Related Nonequilibrium Systems
Place of Presentation
Nakanoshima Center, Osaka Univ.
Year and Date
2017-03-22 – 2017-03-22
Int'l Joint Research
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