2018 Fiscal Year Annual Research Report
Replica symmetry breaking and physical properties in glass jamming systems
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15K05212
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉野 元 大阪大学, サイバーメディアセンター, 准教授 (50335337)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ガラス転移 / ジャミング転移 / コロイド / スピングラス / レプリカ理論 / 動的平均場理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
外的なランダムネス(quenched randomness)を持たないM成分p体相互作用ベクトルスピン系について、 今年度はそのダイナミックスに注目し、Martin-Siggia-Roze の動的母関数の方法を用いて動的平均場理論を構築した。quenched randomnessのある場合については L.Cugliandolo and J. Kurchan, Phys. Rev. Lett. 71, 173 (1993))などによって動的平均場理論が作られていた。今回、quenched randomnessがなくても同等の理論が得られることを示すことができた。
楕円体形コロイドに対応した、剛体楕円体のガラス転移に関するd→∞次元での厳密な平均場理論の構築を開始した。今年度は、回転自由度・並進自由度の動的ガラス転移を捉えることに成功した。用いたのは、一昨年度構成し、昨年度パッチコロイド系に適用したのと同じ、一軸対称性をもつ粒子系に対するレプリカ液体論である。ポテンシャルには標準的なGay-Berneポテンシャルを用いた。解析の結果、異方性が弱い領域では、並進・回転自由度のガラス転移が分離していて、異方性が強くなると結合することがわかった。また、d→∞次元では、いわゆるoblate型(円盤状)の異方性とprolate型(棒状)の異方性で系の振る舞いが定性的に大きく異なることがわかった。oblate型の領域では、中間的な異方性の強さのところで、ガラス転移、ジャミング転移密度に極大が現れた。これは現実の3次元系での数値シミュレーションや実験によって観測されていることに符号している。対照的に、prolate型の領域では、ガラス転移、ジャミング転移密度は異方性とともに単調に増大するだけであった。また、今回この系におけるネマティック転移についても厳密な相転移線を明らかにすることが出来た。
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